特集・不織布新書02秋/こんな商品が面白い/原料メーカー編
2002年08月20日 (火曜日)
アコーディスジャパン「テンセルHS260」
スパンレース不織布用専用の精製セルロース繊維。「テンセル」原綿の中に海島状にポリエステルを配したもの。これにより従来、カード通過性がレーヨン短繊維よりも劣っていた「テンセル」をポリエステル並みに改善したと言う。ただ、欧州で販売しているものの、日本での実績はない。なお、同社は今年3月からアコーディス・セルロジックファイバーズのレーヨン短繊維の販売も始めている。
宇部日東化成「シムテックス」
独自の延伸工程の採用による高配向に結晶した高強力ポリプロピレン繊維。従来のポリプロピレン繊維に比べ強度は2倍(短繊維で7・0~10・5cN/dtx)、弾性率は4~5倍、熱収縮率は2分の一、耐薬品性も従来品を上回る。
オーミケンシ「香澄(KASUMI)」
天然の窒素系高分子を練り込んだレーヨン短繊維。シックハウス症候群の主たる原因と言われるホルムアルデヒドを吸着する。低濃度、高濃度いずれの環境下でも厚生省ガイドライン濃度0・88ppm以下に抑えることができる。同社試験によれば初期濃度0・45ppmが3時間後に0・03ppm(試料12グラム、30リットルテトラバック)と他社製品の1例と比較して吸着量は10数倍。吸着後、家庭での一般洗濯すれば吸着能力は復元する。
ダイワボウレーヨン「イオリナレーヨン」
ミネラル機能鉱石をブレンドしたセラミックパウダーを練り込んだレーヨン短繊維で、マイナスイオン発生する。レギュラーレーヨン短繊維使いスパンレース不織布と比較すると8倍以上(1cc当たり650イオン・イオンテスターKTS―800で測定)のマイナスイオンを発生する。
チッソ「インタック」
パルプなど他素材との接着性に優れたオレフィン系複合繊維。同社のオレフィン系複合繊維「ES繊維」に比べパルプ、レーヨン、コットン、木材など天然系素材やアルミ、ガラス、鉄、セラミックなど無機素材との接着性が高いのが特徴で、パルプと組み合わせたエアレイド不織布では「インタック」と「ES繊維」使いでは破断強度で60%アップし、紙紛発生量はほとんどなくなる。また、ヒートシール性も「ES繊維」に比べて格段に高まる。
帝人ファイバー「エルク」
ポリエーテルエステル系繊維クッション材。立体的に絡みあったタングルスプリング構造をもつ。強くしなやか、へたらず、弾力性が長持ちするほか、通気性にも優れ、すでに寝具マット、車両用シート、ブラジャー芯などに採用されている。
東邦テナックス「パイロメックス」
アクリル繊維を空気中で酸化させることで優れた耐炎性(LOI値55~55%)を持つ。空気中では燃えない。溶接時の火花による火災防止に使用するスパッタシートなどに使われるが、昨今はNAS(ナトリウム・硫黄)電池の電極材として注目される。電力の平準化、バックアップ電源として期待されるNAS電池用は「パイロメックス」をニードルパンチ不織布(フジコーに生産委託)化した後、焼成して炭素繊維化しているもの。通電性に優れ、金属系に比べ化学安定性に優れることから正極にこれが使われる。
三菱レイヨン「ボンネルMVP」
湿式不織布用に開発したアクリルのショートカットファイバー。直紡方式では最も極細(0・1dtx)で、特殊処理によって水中分散性を高めている。アクリル繊維がもつ特性は変らず、練り込みにより抗菌はじめ様々な機能付与も可能だ。
ユニチカファイバー「テラマック」
米カーギル・ダウ社のポリ乳酸を原料にした生分解性繊維。低融点ポリ乳酸と複合した熱融着繊維も開発済(融点130℃)。さらに低融点の110℃タイプもめどが付いている。すでに、水切り袋などが商品化されているが、同社の主力であるエステル系熱融着繊維「メルティ」の衛生材料、貼布基布などにも展開する考え。