学生服/詰め襟服復活へ

2002年09月20日 (金曜日)

ブレザー一辺倒の反動か/マオカラーなど別注品が中心

 学生服業界では男子高校生の制服更新で詰め襟の復活の兆しが今年から出てきた。

 明石被服興業の詰め襟を扱うスクール1部の柿並裕章部長は「今年から高校のモデルチェンジで詰め襟に回帰するところが増えてきた」と語る。同社の場合、昨年同時期では制服更新で詰め襟の決定がほとんどなかったが、今年はすでに10校前後が採用を決定し、さらに詰め襟を検討しているところが多数控えているという。

 テイコクの田窪啓二取締役開発本部長も「詰め襟への回帰は今年の入学期にもあったが、来年はさらに20校近くまで増えそうだ」と話す。同社は昨年から提案しているコムサデモードの学校制服「コムサデモード・スクールレーベル」を今年の展示会から詰め襟タイプを加えたフルラインで提案。昨年まではブレザータイプにとどまっていたが、詰襟タイプを要望する声が多かったためだ。

 最大手の尾崎商事も「東京地区では詰め襟タイプが増えている」(尾崎敏之常務)と話す。ただ、従来の黒の詰め襟とは違い、蛇腹付きやシャドー柄、マオカラー使いなどを含めた別注の要望が多い。また、瀧本も同じく「詰め襟タイプの要望が増えているが、従来の黒の詰め襟とは違い、マオカラーを採用したり、紺の詰め襟など別注が多い」(廣瀬佳弘企画開発本部長)と言う。

 日本毛織の内藤征二スクールユニフォーム部長は「詰め襟への回帰はこの春からその兆候があり、来年の制服更新では詰め襟タイプがモデルチェンジの1割以上に上りそうだ」と言う。日本毛織の調べでは、今春モデルチェンジした高校が163校あり、デザインの内訳は男子の場合、ブレザータイプ73%、スーツタイプ18%、別注詰め襟9%である。来年は詰め襟タイプが2ケタ台に乗りそうだとする。

 学生服業界では80年代後半から制服のモデルチェンジが活発化し、ブレザースタイルへのモデルチェンジが相次いだ。この16年間での制服更新をした高校は累計で3326校あり、高校総数4151校(01年3月末段階)の80%を占めているが、その大半がブレザータイプに移行している。来春は、10数年前にブレザータイプに更新した学校が再び詰め襟にもどるケースがみられる。

 ブレザースタイルの場合、ネクタイをだらしなく締めたり、シャツをズボンの外側に出すなど着崩しが増えていることから詰め襟にもどるケースもあるほか、中高一貫校や統合よる制服更新で、女子はブレザーでも男子は詰め襟タイプを残したいという学校が多いようだ。

 またブレザーが飽和状態に近づき、詰め襟に回帰する動きも出ているようで、児島の山本裕人社長は「高校ではブレザースタイルが浸透し、詰め襟が逆に新鮮に映ることからモデルチェンジの1つのパターンとして加わっているのではないか」とみる。業界関係者は、伝統校ほど詰め襟を守っているところが多いとみている。