アパレルベンダー特集/“脱・OEM”に挑む/素材メーカーの製品事業

2002年11月18日 (月曜日)

シキボウ(マーメイドアパレル)/設立4年目で軌道に

 シキボウの編み地販売部門、衣料第二事業部は99年に、旧製品部を分離独立させる形でマーメイドアパレル(大阪市中央区)を設立した。マーメイドアパレルは現在、年商の7割をニット製品の請負生産で、3割を「ババール」商標の衣類の小売りで稼ぎ出している。この体制で今年度上半期、分離独立後初の黒字を計上した。

同社は、シキボウが全額出資で中国に設立した縫製工場、上海敷紡服飾の管理運営を委ねられている。中国の縫製工場は普通、1ラインに30人程度を配する量産体制を採っているが、この工場は12~15人体制。量を追うつもりがないからだ。扱っているいるのは、名だたるトップ・ブランドばかりだとマーメイドアパレルの矢富敏雄社長はいう。この工場を主要縫製拠点として同社は、有力アパレルとの取組みを地道に深めてきた。

「ババール」商標の衣料の小売り事業は、シキボウが97に開始した。その管理運営業務の移管も受けたマーメイドアパレルは、直営店を20店舗へ増やしたが、業績が伸びない。「ババール」にマッチする市場を把握していなかったと判断し、昨年下半期から都心部を中心に9店舗を閉鎖。一方で効外に3店舗を新設した。現在の店舗数は14店舗だが、売上高は20店舗体制のころとほぼ同じ。この事業も今年度に、黒字化する見込みだ。

富士紡/「BVD」で多国籍展開

 富士紡は、全額出資子会社のフジボウアパレルを通じ、賃借商標の「BVD」を冠した下着を卸してきた。今、その製造、販売拠点の国際化を進めている。2004年度には、同社が生産する「BVD」製品の5割が、海外産になっているはずだ。また同年度に、同社の「BVD」製品売上高の2割を、海外市場で稼ぎ出す形にすることも狙っている。

昨年8月、フジボウアパレルの全額出資で中国に縫製会社(富士紡常州服装)を設立。ここで「BVD」トランクスを生産し始めた。また、請負生産に活用している青島の協力工場でも、「BVD」製品の縫製を試み始めた。

加えてタイでも、現地資本のジンタナ社とフジボウアパレルの合弁で縫製管理会社(ジンタナ・フジボウ)を昨年10月に設立。ここを窓口にジンタナ社の縫製工場を使い、「BVD」肌着を生産している。ベトナムでも、「キトポリィ」使いの下着の請負生産に活用している協力工場で、「BVD」肌着の生産を試み始めた。

生産拠点の多国籍化を着々と進める一方で、販売市場のそれにも着手している。昨年から韓国で、今年5月から香港で、今夏から台湾でも「BVD」肌着の販売を開始した。近く、タイでの販売も始まる。来年から、中国での販売も始める計画だ。

カネボウ繊維/自社商標での卸売りを強化

 カネボウ繊維は昨年10月、アパレル製品営業部を発足させ、自社工場の素材を使うことにこだわらず、「はじめに需要ありき」(久津清二部長代行)という観点で作った製品の卸売り事業の拡大を加速した。

昨年から、「ジェイク!」商標の紳士スーツを紳士服小売りチェーンのはるやま商事へ卸している。加えて、「カネボウフォーマル」商標で紳士礼服の卸売りも開始した。はるやま商事を含む紳士服小売りチェーン2、3社と、量販店1社がこれを販売している。別の量販店1社とも商談中だ。

これらの卸売り事業については、定期的に一括納品し、この間の追加納品はしないことを原則にしている。このため、カネボウ繊維には製品在庫は残らない。

今月6日。同社は、皮下脂肪の分解燃焼促進作用や吸収抑制作用を有する成分、ラズベリーケトン(木苺の香気成分)を固着させた生地を「ベルベリー」商標で発表した。同部は、これで作ったカバー、シーツを来年春夏商戦向けから「ベルベリー」商標で量販などへ卸す。

翌7日、独自商標の「アンルー」で、シャツ、ブラウスを中心とした婦人衣料の卸売りを開始することも発表した。来年春夏商戦向けから、百貨店や婦人服専門店へ投入する予定だ。これについては、在庫を持って追加投入も行う。

オーミケンシ/「エナリー」を事業部化

 オーミケンシのエナリー事業部は、昨年11月に発足した。キチン・キトサン繊維「クラビオン」、「紀州備長炭繊維」をはじめ、やさしい自然の素材を厳選したインナーやエステグッズを製造・販売する。また、5月からは基礎化粧品の販売にも着手した。

ブランドの「エナリー」は、「ナチュラルエナジー(自然の力)」と「リカバリー(回復)」の造語である。商品のコンセプトは心と身体の癒し。20~60代の女性を対象にするが、「とくに30代後半から60代の女性の反応がいい」という。

商品は「クラビオン」を使った「スキンコンシャスキャミソール」(2800円)、「スキンコンシャスシェイプショーツ」(2600円)から、「紀州備長炭繊維」を使った「ビューティ・ヒーラー」(800円)、「つまさきウォーマー」(800円)、「クラビオン」不織布の「エステマスク」(500円)まで、インナーやエステグッズが24アイテム。

5月からはキトサンやヒノキチオールなど天然成分を配合した基礎化粧品も販売し、今後はサプリメントも検討する。販売は、通販や通販卸が主体で、ドラック関係の販売代理店も募集していく。

 「化粧品を伸ばすことで、他の商品も伸びる。ミカレディの直営店での販売も行っている。インナーは当社独自の特化素材を使用するだけでなく、脇縫いがないなど肌に優しい縫製。ガーゼタッチのタフラーは、隠れたヒット商品になっている」という。

ダイワボウ/原糸から小売りまでつなぐ

 ダイワボウは、自身で企画・開発した商品を提案し、受注生産するODM(オリジナル・デザイン・マニュファクチャリング)を拡大する。分社化した和歌山、舞鶴工場の原糸を使って製品化に結びつけるのも、その一環である。

 海外においてはインドネシアのプリマテキスコ、ダヤニガーメント、TTIでトランクス、ドレスシャツなどを生産。中国では蘇州大和ニットガーメントで、Tシャツやコートを生産する。日本、欧米市場に向けた供給拠点であり、同社の製品事業の中核を占めている。

 また、アパレル販社3社を統合して設立したダイワボウアドバンスは、「チャンピオン」「ヘインズ」「ハンテン」「グウジ」「ジョッキー」を展開。同社グループのOBM(オリジナル・ブランド・マニュファクチャリング)を推進する。今年度中に10店の「ハンテン」ショップを首都圏中心にオープンする計画だ。ODM生産した「ハンテン」のゴールドラベルTシャツは、超極甘撚糸を使用している。

 原糸から小売りまでをつなげたこうした展開は、繊維会社としての基盤をより強固なものに形作ろうとしている。