タケダレース/中国寧波にレース一貫/伊藤忠など出資

2002年12月13日 (金曜日)

内販めざし進出

 タケダレース(福井市)と伊藤忠商事、GSIクレオスは12日、中国浙江省寧波市にレース編み立て・染色一貫の日本側独資合弁を11月に設立したと発表した。「将来の中国内販を目指して今から現地に生産拠点が必要」(武田寿一タケダレース社長)と判断したもので、03年9月に操業を始める。当面は内販を研究しながら、全量を欧米、日本向けに輸出する。初年度売上高は8億円を計画する。

 新会社は「寧波武田紡織有限公司」。資本金400万ドルで、タケダレースが67%、伊藤忠とGSIクレオスがそれぞれ16・5%出資した。年産規模はレース編み立て85万メートル、染色整理170万メートル。敷地面積4万3000平方メートルで第一期工場の延床面積は1万平方メートル弱となる。従業員は200人。総経理にはタケダレースの浦山洋社長付海外担当が就く。

 「世界に通じるデザインとグレード」(武田社長)を目指す考えで、設備はラッセル編み機16台、撚糸機2台、染色設備一式などを持ち込む。ナイロン原糸は当面全量をタケダレースのタイ撚糸合弁、KTYから調達するが現地調達も模索、将来は全量を現地産に切り替える方針。製造するレースの85~90%はデュポン「ライクラ」、旭化成「ロイカ」などスパンデックス使いになる。

 染色整理設備の余裕能力は日本製生機と中国に進出している台湾系刺しゅうレースメーカー品の受託加工に半分ずつ使う予定。第1期の総投資額は750万ドル。将来はラッセル編み機70台体制を構想している。

 伊藤忠はトリコットを主とする日本製生機の染色加工に活用し、現地やベトナムの縫製拠点と結んで製品の中国内販、グローバル展開の足掛かりにする。日本でタケダレースに糸を供給するGSIクレオスは糸の拡販を図るとともに、新会社のレースを製品販売部門が使うことで自社製品の競争力を高める。

 タケダレースはタイと台湾、韓国に計6社の合弁を持つ。今回の中国を除いて日本を含めグループ全体が保有するラッセル編み機は219台で世界一を誇る。アジアの各拠点で製造するレースはすべて「世界統一のグローバルプライス」(武田社長)で販売している。中国での展開も同様の方針で、「類似商品が出ても意匠面で差を付けた格上の商品を打ち出す」と高級ゾーンを狙う。