東レ/仏で炭素繊維増設/グループ年産9100トンに

2003年01月10日 (金曜日)

航空機など産業用途へ

 東レはPAN系炭素繊維「トレカ」の生産設備増強を決め、欧州の生産拠点であるソフィカール社(本社フランス・アビドス、出資比率東レ70%、アトフィナ社30%)に年産1800トンの焼成設備1系列を増設するとともに、原料のプリカーサ(アクリル長繊維)を生産する愛媛工場で原糸生産設備の応分の能力増を実施する。

設備増強により、東レグループの炭素炭素繊維生産能力は日米欧の生産拠点を合計して、年産9100トン(うち愛媛工場4700トン/年、米CFA社1800トン/年、ソフィカール社は2600トン/年に増強)になる。増強分は04年8月の稼働開始を目指す。投資総額は約80億円。

 同社によると、PAN系炭素繊維の世界需要は約1万8000トン/年と推定され、中長期的には航空機需要の回復や一般産業用途の拡大から、今後10年間で年率6%の伸長が見込まれるという。

 今回増設する欧州では、06年就航予定のエアバスA380の商業生産開始に伴う航空機用途での新規需要や、風力発電の風車ブレード、高圧ガスの圧力容器など一般産業用途での拡大が期待できることから、現地生産比率を高めるため増設を決めた。