2003大阪ミシンショー・24日開幕/生産を支援する縫製・システム機器を提案
2003年01月22日 (水曜日)
JCの成功つなげるか/CAD、CGシステム
CADやCGシステムなどIT関連ベンダーも大阪ミシンショーに出展する。その多くは昨年12月の「ジャパンクリエーション(JC)2003」に出展し、展示会自体の盛況とIT活用への関心の高まりを受けて成果を挙げている。JC以後、関西地区で初の公共イベントであり、出展内容も概ねJCを踏襲する形になっている。従って、JCでの成功をつなげ、さらに大きな波を起こせるかが焦点だ。
出展機器の方向としては、国内展だけに、やはり多品種小ロット短納期による高付加価値のモノ作りを実現するシステムが中心だ。さらに踏み込んで言えば、将来的に集約されていくだろうオーダービジネスの可能性を広げるものといって良い。「個」対応である。
システムを構成する各機器・ソフトは、データの互換性(インターフェース)が高まっており、これからCAD、CGを導入しようとする中小企業にとって機は熟している。
国内工場のどこをとっても、縫製レベルは国際的に不足ない域にまで達しており、競争力を発揮するために必要なのは、まず企画力の強化である。CAD、CGシステムはその意味において、本来製造業のあるべき姿である「工商一体のトータルインダストリー」に向けたインフラとして位置付けられるようになっており、国内でビジネスを続ける上での必要条件になっているとも言えるだろう。
企画~染色一貫システム/旭化成AGMS
ジャパンクリエーション(JC)で大きな反響を呼んだ企画~染色一貫処理システムが注目だ。CAD~CG~インクジェットプリンタを連動させ、型紙~サンプル制作を1時間で実現する夢のシステムである。
CADとCG(インターナショナルソリューション「UPシリーズ」)のデータ連動により、型紙データに柄乗せするため歩止まりが良く、時短だけでなくロス低減にもつながる。特殊加工生地に大判インクジェットプリンタで直接出力するので、企画現場で先染め調サンプルのプレゼンテーションが可能だ。
特殊加工生地の種類も、綿、麻、シルク、ポリエステル、アセテート、キュプラ、皮革と豊富。水やスチームを一切使わないため、環境の時代にも適合する。
キュプラ素材、ジーンズ、水着、皮革メーカーなどから引き合いが相次いでおり、業務あり方を変える新しいビジネスモデル構築の手段として注目されている。
CADシステムでは、最新バージョンとして対話式のグレーディングソフトも出展される。グレーディングのルール・数式が、画面上で指示することで自動作成される。運用負担を低減する便利機能だ。
JC直後に大阪の同社個展で発表され好評を博したもので、インナー、ファンデーションのユーザーを対象にテスト運用も行われている。既存ユーザーのバージョンアップにも有償で応えていくという。
自社初CGのβ版/東レACS
昨年12月のジャパンクリエーション(JC)で発表した、初の自社製CGソフト「CGマジック」のβ版が出展の目玉だ。CADシステムと生産管理システムをオリジナルで持つ同社が、アパレル企画デザイン部門をカバーするCGを開発し、4月1日の発売開始が予定されている。
「CGマジック」は、用途別に描画(ペインティング)、配色(カラーリング)、線画編集(ドローイング)、合成(マッピング)の4種ソフトで構成されるが、パッケージ販売は行わず、顧客が必要とするソフトのみを購入できる。
「繊維業界に特化したシステムは自己完結する方向が多いが、優位性誇示や囲い込みの時代ではない」とし、「データ一元管理のニーズに応えながら、パーソナルソフトの考え方」をコンセプトに開発したという。価格設定も1ソフト30万円と割安感がある。
同じ考えから、プリンター、スキャナーもメーカーを選ばずにインターフェースが取れる。パソコンがそうであるように、入出力機の選択はユーザーに任せるほうが親切だ。
一般的なソフトとのデータ互換も自由だ。例えば線画編集ソフトでは、イラストレーターとの互換性が確保されている。「CGマジックのデータは多様なデータ形式に置き換えられるので汎用性が高い。この点を大きなアドバンテージとしてアピールしたい」という。
線画編集や合成ソフトには豊富なヒナ型サンプルも標準添付されており、省力化に役立つ。
最新テクノロジーを紹介/島精機
島精機製作所は新しく改良した「P―CAM181」をはじめ、フラット型のプリントシステム「SIP―100F」、All inn Oneのデザインシステム「SDS―ONE」、ホールガーメントのニットサンプルなどを出品し、ファッション全般に関わるモノ作りを提案する。
「P―CAM181」は裁断するだけでなく、マーカーシート、パーツなどの表示を可能にしたことや、中国語メニューも加え機能性、操作性アップさせた。
デザインシステム「SDS―ONE」はメモリー容量の拡大や処理速度アップさせたほか、全体的に扱い易くしたことを実演で示す。これら新たにリニューアルしたCAD/CAMの組み合わせで抜群の操作性と、より優れたコストパフォーマンスを両立させ、しかもスムーズで効率の高い優れたトータルシステムを可能にしたことを披露する。
プリントシステム「SIP―100F」は今回、スペースを広げ島精機の新しい部分を実演で訴求する。また、出来上がりサンプルの数々を揃え、多品種小ロット生産に適したプリントシステムとしてアピールしていく。
さらにホールガーメントは製品およびハンガー見本を含め約40展を出品し最新デザインのサンプル紹介する。
同社では企画・デザインから生産、流通、販売までの最新テクノロジーによるトータルシステムを提案・紹介し、ファッション産業を支援していく考えとしている。
優れた利便性をアピール/タカオカ
タカオカはCAD/CAMシステムを出品する。CADはWindows対応の「オプチテックス―CADシステム(Opti―CAD System)」。
同CADは(1)サイズ別完全自動マーキングのセパレートブロック(2)柄合わせのマーカーを自動で処理するマッチ・プラプラ(3)一般的なマーカーレイアウトの場合1~5分で全自動マーキングが可能なネスト・プラプラ(4)関連ピースのパターン修正をビジュアルに操作できるモジュレート…などのソフト搭載するシステムだ。このほかにも、連続自動マーキング処理ができるネスト・キューや、他社のCAD/CAMファイルとの互換性を持つインポート、共有ラインの自動削除、
CAMシステムに対しカット順序の適正編集を自動処理するなどが特徴。
今回展では関連ピースの自動パターン修正できる3D(立体)モジュレートのソフトを使って実演・紹介する。
CAMはテクノカットシリーズで、30、50、70ミリの3モデルがあるが、このうち30ミリタイプを実演してみせる。
新発売装置を実演・披露/アップストーン
縫製機器・装置を展開するアップストーンは、新型センサー搭載のレース・ゴム付けテンション装置/セパレート式テンション装置「SCF15S/STG」をはじめ、コンピュータ制御デジタル式生地送り装置「IDF―2003」針数制御式・12段切り替えや、コンピュータ制御デジタル式・上送り装置カーテン仕様「IDF―1500―CU」、新型セパレート式・針数制御式・12段切替式レース・ゴム付けテンション装置「SC―500」など新機種を出品。この中で新発売のセパレート式テンション装置「SCF―15/STG」は、新型センサー搭載で従来よりもさらに強力なテンション設定を可能にしたほか、セパレート式により、上取付け、下取付け、横取付けができる。
「IDF―2003」はミシン送り機構とは独立した上送り装置で、生地に合った送り量を12まで記憶できる。さらに送り量は従来より、高トルクモーターの採用で生地送りのタイミングも調節可能。
「IDF―1500―CU」にはカーテン仕様があり、カーテンのねじれ・斜行・つまりを解消する。このほかインターロック、本縫い2本針リングテープ、本縫い1本針ヘム縫い…などそれぞれの仕様を揃えている。会場では既存のミシンに装置を取り付け実演・披露する。