ジーンズブーム世界に広がる/Jデニム輸出30%増加

2003年02月07日 (金曜日)

昨年は、世界的な高額ジーンズブームによって、付加価値の高い日本製デニム素材への注目が高まった。02年(1~12月)のデニム輸出量もその評判通りに増加した。

国内定番停滞の中で

 1月末に発表された財務省貿易統計によると、昨年の日本からのデニム輸出量は全世界合計で、前年比30・4%増の5508万6900平方メートルだった。金額も30・7%増の227億9800万円と前年実績を大きく更新した。

 アジア地区の状況を見ると韓国、中国、ベトナム、タイ、マレーシアなどの各国への輸出が大きく伸びた。反対にインドネシアへの輸出は97・5%減と激減した。

 一方、米国への輸出量は前年比倍増以上、南アフリカへの輸出量は5倍を超えた。

 クラボウのテキスタイル第1部ジーンズ課の川野憲志課長は「韓国への輸出が激増した要因は、経済復興が進んで、高級ジーンズブームの内需が高まったため」と分析。韓国も日本と同様に1万2000円前後のジーンズが人気を呼んでいるという。

 中国への増加は、国内の各アパレルによる加工貿易が増えたことによる。タイ、マレーシアの激増は、米国アパレルが両国を自国内向けの縫製拠点としたことが背景にある。

 またベトナムへの増加は、日本のある大手ナショナルブランド(NB)が縫製拠点を移したことが大きいといわれる。一方、インドネシアの激減理由について「政情不安によって、各国の有力アパレルが縫製の受注をいっせいに控えた」(川野課長)ことが挙げられる。

 米国は「ジョーズジーンズ」や「ペーパーデニム&クロス」など100ドル以上する高額ジーンズが支持を集めたことから倍増以上となった。「ブランドによっては、日本製デニムの使用比率は半数以上になる」と話す関係者もいるほど、高付加価値素材への要望は強い。

 南アフリカが56万2091平方メートルと量こそ少ないものの、前年比5倍以上となったのは、米国の大手大衆向けSPAブランドが南アフリカに大量の縫製受注を入れたことによる。また、政情不安定なインドネシアから撤退した各企業が、南アフリカに拠点を移したこともその背景にある。

 クラボウ、カイハラ、日清紡などの国内の大手デニム素材メーカーは、今年に入っても「輸出は堅調」としており、今年も順調に推移しそうだ。

 しかし、国内市場ではレディースジーンズが失速したまま、2月に入っても上向く兆しがない。百貨店では、1万5000円を超える高額インポートブランドは堅調だというが、専業アパレル各社の主力商品である定番ジーンズは停滞している。

 同じ専業アパレルの商品でもリーバイ・ストラウス・ジャパンの「タイプワン」やビッグジョンの「新美脚ジーンズ」のようにデザインや色、素材に一ひねり加えた新商品は好調な動きを見せる。カイタック・GM営業部の古城和正常務は「昨年は定番7割、デザイン物3割の比率で売れた。今年はこれを逆転させないと市場は動かない」と分析する。堅調な輸出に比べて、国内市場は大きな正念場を迎えそうだ。