ろ過布以外を拡大/素材の能力増も検討/東レのフッ素繊維
2003年03月12日 (水曜日)
東レはフッ素繊維「テフロン」「トヨフロン」で摺動材やパッキン材、シール材などフィルターバグ(ろ過布)以外の用途拡大に取り組むとともに、経営改革プログラム「NT21」の最終年度となる06年度までに、2素材の能力増も実施する意向だ。
同社は昨年、米デュポン社のフッ素繊維「テフロン」事業を買収する一方、米国にトーレ・フロロファイバーズ・アメリカ(TFA)を設立。さらに、子会社の東レファインケミカルのフッ素繊維「トヨフロン」販売業務も本体に移管し、新設した機能素材事業室がヘッドクオーターとなってフッ素繊維をグローバル展開する世界最大メーカーとなった。
同社によると、フッ素繊維は耐熱性と耐薬品性などの特長から都市ゴミ焼却場用のフィルターバグが主力用途だが、摩擦係数が低く滑りやすい性質(摺動性)を持つ。
これを生かして「トヨフロン」では各種軸受けや摺動板、自動車のウィンドウスタビライザーなども展開してきたが「テフロン」は「トヨフロン」以上に用途展開が多岐に渡る。これを生かして機械のオイルレスベアリング、パラ系アラミド繊維と組み合わせたパッキン材、シール材などで「ノウハウの蓄積があることから、より一層の拡大が期待できる」(池田正綱機能素材事業部長)とみる。
こうしたフィルターバグ以外の需要動向も考慮しながら「トヨフロン」は、デボトルネッキングの解消で約10%増産の年産250トンを検討中。「テフロン」もTFAへの設備移設後、「能力増を検討する」(丸山和博産業資材・機能素材事業部門長)意向だ。