シキボウ/経営改善策を追加/借入金圧縮と収益向上へ

2003年03月24日 (月曜日)

 シキボウは累積損失の早期解消と復配体制の再構築を目標とした経営計画を進めているが、このほど財務基盤及び収益力の改善を図る更なる経営改善策を追加した。(1)資産売却による借入金の圧縮(2)厚生年金基金の解散(3)本社ビルの買戻しによるコスト削減(4)遊休資産の活用による安定収益源の拡大(5)人事・福利厚生制度の見直し―が骨子。

04年3月期に単体での累積損失を解消するほか、02年3月期末に連結ベースで530億円あった借入金を04年3月期末で450億円に圧縮する。連結経常利益は16年3月期で25億円以上を見込む(02年3月期は12億円)。

 資産売却については、遊休地および賃貸地の一部だった旧江南工場(愛知県)の土地6万6115平方メートルをユニーに売却する。譲渡価格は31億4000万円で、これを計上する04年3月期は23億9600万円の利益剰余金が発生する見込み。これによる資金増加額27億円は借入金の返済に充てる。物件引渡日は来年3月の予定。

 また、利回り低下によって財政が悪化している厚生年金基金は解散する。04年3月期上期に厚生労働省認可を受けるために準備を進めている。これにより年間8~9億円のコスト削減及び6~7億円のキャッシュフロー改善を見込む。

 本社ビルは3年前に土地・建物を証券化して不動産信託する形で売却していたが、買い戻すこととした。不動産価格の更なる値下がりが背景だ。買い戻しによる期間損益の悪化はなく、自社スペースの圧縮によって賃貸収入向上も見込めるという。

 人事・福利厚生制度については、資格・賃金体系を抜本的に見直し、来期から成果重視体型に移行する。緊急的に実施している管理職以下社員全員の基本給10%カット措置は、一年間延長の方向で労働組合と協議中。役員報酬のカット率拡大(20~40%)は復配まで継続する。また、来期から住宅諸制度の全面改訂を実施して持ち家促進を図る一方、住宅・寮にかかるコスト削減と賃金の効率化を図る。