クラボウ/沖縄月桃の紡績に成功
2003年05月09日 (金曜日)
今月中旬から生地販売へ
クラボウ・綿合繊事業部は8日、沖縄で栽培されている多年草の月桃(げっとう)と綿の混紡糸の量産技術を確立したと発表した。それを使った生地を今月中旬に発売する。月桃製品の用途開発を進める月桃エコロジー(沖縄県那覇市)から、1次開繊済みの月桃繊維の供給を受ける。
月桃は、東南アジアに分布するショウガ科の多年草。
その葉には、抗菌性、防虫性がある。沖縄県は、この月桃の用途開拓を進め、地域産業振興につなげようとしている。すでに、アイスクリームやソバなどの食品、化粧品、防虫剤、芳香剤などに利用されている。ただし、利用されているのは葉の部分だけで、茎の大半は廃棄されていた。
月桃エコロジーとクラボウは月桃の茎を1次開繊する機械を共同開発。月桃エコロジーは、地元の財団法人、南西地域産業活性化センターからの資金協力を得てその1号機を据えた。同社が供給する繊維を原料に、クラボウの北条工場(愛媛県北条市)が月桃5%混の7単、10単、20単、30単糸を生産する。商業生産は月桃5%混で開始するが、試作段階では30%混糸の紡績にも成功しているという。北条工場はこれまで、ヘンプ、ケナフ、カポック、竹など様々な繊維を糸にしてきた実績を持つが、多胡勉工場長は「これまで手掛けた特殊天然繊維の中で、今回の月桃が一番難しかった」と語る。
月桃生地の特長は、適度なハリ・コシと、発色性の良さ、清涼感など。生地の初年度販売目標は1億円。この7割ほどを、沖縄県衣類縫製品工業組合加盟会社が縫製する「かりゆしウエア」向けで見込む。「かりゆし」は、同組合が管理している商標で、沖縄県で生産されたものにだけその使用が認められる。「かりゆしウエア」は、沖縄県庁や沖縄のジャスコの制服としても採用されている。