福助/再生法申請、負債426億円

2003年06月24日 (火曜日)

投資会社に営業譲渡へ

 福助は21日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請、再生手続き開始決定を受けた。負債総額は426億円。連結子会社の四国フクスケ(足袋製造)および群馬ナイロン(パンティストッキング製造)も同時に再生法を申請し、財産保全命令を受けた。

 同日夜、大阪市内の大江橋法律事務所で記者会見した福島淳二社長は10月1日をめどに、投資会社MKSパートナーズ(東京都千代田区)が出資する新会社に営業譲渡し、商号、ブランドを引き継ぐことを明らかにした。福助は法的整理前に支援者と営業譲渡などを決めておく「プレパッケージ方式」を採用。MKSとの間で営業譲渡に関する基本合意書を締結した。

 同社は主要取引銀行のUFJ銀行やUFJつばさ証券の紹介で、支援候補企業10数社と交渉したが、「MKSの総合的な提案、組み立てが今後の経営方針と一致した」ことから選んだ。ただ、詳細は今後詰める予定で、四国フクスケは営業譲渡するが、群馬ナイロンは未定。会社名はそのまま残すが、規模や営業譲渡額は譲渡資産が確定していないことから未定だ。本社従業員530人は基本的に新会社に引き継ぐ。営業譲渡までの資金繰りはUFJ銀行が支援し、NI帝人商事ほか主要仕入先からも営業支援を受け商品供給を継続する。福助と年間約30億円の取り引きがあるNI帝人商事は今後、「新再生計画の枠組みを検討のうえ、商品供給の継続などできる限りの協力を続けたい」としている。

 福島社長は「環境変化の激しさにリストラやコスト削減のスピードが追いつかなかった」と語り、「売り上げの確保ができなかったことが一番大きな原因」と説明した。アウター事業から撤退し、ここ5年間でアウターの売り上げが8割ぐらい落ち込んだ。「120年という長い歴史を終わらせてはいけない。なんとか再生しなければという思いで申し立てをした」と悔しさをにじませた。

 ピーク時の92年3月期の売上高は単体で895億円だったが、03年3月期は連結で470億円まで減少。営業損益はここ数年改善していたが、アウター事業からの撤退や有価証券評価損で特別損失が膨らみ3期連続赤字を計上した。MKSは企業再生の投資会社で、プライベート・エクイティ・ファンドの運営を事業内容としている。http://www.mks-p.jp

できる限り協力/NI帝商

 NI帝人商事は福助が民事再生法の適用を申請したことについて、「取引先として残念な結果となったが、新しい再生計画の枠組みを検討したうえで、今後もできる限りの協力を続けたい」とのコメントを発表した。

 同社は福助に靴下やパンティーストッキングなどを製品で供給している。年間取引額は約30億円。持ち株比率8・34%の筆頭株主だが、福助が新会社へ営業譲渡した後の出資関係は現時点で未定という。商品供給はできる限り継続する方針。