SARS終息へ(6)「冬の再発」懸念に備える
2003年07月03日 (木曜日)
SARS騒動で中国出張ができなかったため、商談に遅れが出ている。
例えば、紳士用スーツの今秋冬物の生産は今後ピークを迎える。例年なら秋冬物は5~9月が生産、輸入の時期。ただ、今年は「5~6月の工場スペースが空き気味だった」(蝶理・アパレル第二総部メンズアパレルビジネスユニット)。9月までにある程度、“広く薄く”分散できていた発注は今後立て込んでくるとみられ、「7月から急なピークを迎える」との見方が大勢だ。
一方、肌着も今秋冬物の商談が「通常なら素材、発注量が決まっている商品がシーズン見込みの6~7割」(トーメン・大阪衣料部第四グループ)のはず。しかし、「今年はここまででそれが半分に達した程度」と遅れを指摘する。生産現場の状況も紳士用スーツと同様、「8月までスペースがタイト化する」とみる。
アイテムを問わずスペースのタイト化は、普段使用しない生産ラインを使うなどの対応策を強いられそうだ。そうなると「出てくる商品のB品率が高くなるかも」(商社関係者)といった不安要素を生む。再開された出張で忙しさに拍車がかかる中で、そうしたリスクへの対応に追われることも否定できない。
他方、04春夏物の仕込み作業でも支障が出ていた。紳士用スーツの来春夏商談は、出張できなかったことによって素材の手当が遅れている。例年なら、この時期では既に発注を終えているはずだが、「今年は今から」(蝶理)。満を持して出張を開始、見本作りに奔走している。
秋冬物の検品も課題だ。中国の日系の検品工場は忙しい。「日系の検査機関は信頼度が高い。返品がこわくなるほど仕事が増える」(カケン、ニッセンケン)という。既に人の往来も通常に戻っており、仕事に追われる。
ニッセンケンの場合は、「検査・検品だけでなく、商品に応じてある程度値決めのできるスタッフが南通に残った。日本から企業が出張できなくてもカバーできる」機能を発揮した。
三陽商会は1日から香港・中国への出張が認められるようになった。しかし、テレビ会議や電話などで処理しており、当面の出張予定はない。ただ、秋からは来春夏物のニットや雑貨などのビジネスがスタート。「冬のSARS再発が心配」という。
シキボウの子会社のマーメイドアパレルは、「上海敷紡服飾有限公司は現地化を進めており、この間、大きな問題はなかった。また、インターネットを利用して専用の掲示板や生産進ちょく情報を共有するシステムを構築していたことも奏功した」。
しかし、同社も冬のSARS再発を懸念しており、「デジカメによる製品の仕上がり具合の把握などを含め同システムの一層のレベルアップ」を図ることで、冬への備えを今から始めている。




