インターテキスタイル上海/日本出展者 一丸で対応
2003年08月18日 (月曜日)
テキスタイル分野でのアジア最大の国際展示会「インターテキスタイル上海」が、この秋も10月14~16日に上海新国際博覧センターで開かれる。日本の出展者は一丸となって「ジャパン・ブランド」の浸透を図る。
「メード・イン・ジャパン」を全面に
イタリア、韓国などが国ごとにまとまってパビリオンを形成していたなか、昨年までのインターテキスタイル上海で日本は、個々の企業が別々に展示していた。今年からは「ジャパン・パビリオン」として日本の出展企業を一堂に集め、「メード・イン・ジャパン」を前面に打ち出す。大手素材メーカー、商社も10月の展示会に向けて準備が整い始めた。
産官一体となった取り組みで参加企業は急増した。昨年出展した日本企業は20数社・団体で、計357平方メートルの展示スペースだった。今年はジャパン・パビリオンとして56社以上の参加が固まり、約1500平方メートルを確保した。
綿素材を中心にした商品で攻勢をかけるのは東海染工。膨らみ感あふれる「プレスモ」や薄地のマイクロピーチ「J‐ファイン」などが主力商品。中国でベターゾーンを扱うアパレル、小売店に独自の後加工技術を売り込む。同社は「JQ(ジャパン・クオリティ)」を積極的に打ち出し、高品質・高感度商品を浸透させたいとする。
それに対して小松精練は、来春の蘇州工場稼働をにらんだ取引先の拡大を視野に入れる。「ビンテージ繊意」などの自社商品の紹介にとどまらず、自社そのものをセールスする機会と位置づける。
婦人・メンズアパレルに加え、新規取引先としてカジュアルアパレルの開拓を目指すのは日本毛織。「トラベルック」「オーディン」などのウール100%を基軸に、「テクノツイン」というスポーツカジュアル向けの複合素材も展示する。ミラノとニューヨーク両支店からの情報による企画力と技術力の一体性を中国バイヤーに訴える。
グループの総合力を生かすのは東レ。ファッションだけでなくスポーツ、資材、インテリアなどの幅広い素材を紹介することで、顧客獲得を目指す。帝人ファイバーは、婦人、スポーツ用など多彩な商品を展開する。「高品質・高感度」がキーワードだ。
昨年まで個別に出展していた商社もジャパン・パビリオンに加わった。兼松繊維は、日本製素材を中国縫製する日本のアパレル企業との取り引き拡大を狙い、ポリエステルとナイロン混繊の超極細分割糸を用いた素材などで勝負する。同時に、福井産地の織物を紹介する計画だ。
「目の前の商いには拘泥しない」と長期的視野に立つのはトーメン。将来市場としての中国をにらみ、信頼関係を築ける代理店を探したいとしている。また主力商品としては、独自の柄出しによるポリエステル・レーヨン複合のストライプ柄を用意した。
蝶理は、北陸産地の技術力を活用した機能素材やポリエステル複合織・編み物などの独自開発素材とともに、他社製品の紹介にも力を入れ全方位的コンバーターの地位確立を狙う。
中伝毛織のウール、新潟産地のレーヨン、アセテートなどの複合素材、丸紅テックスのニット生地を打ち出すのは丸紅。同社の総合力のメリットを現地のバイヤーに訴える。また、伊藤忠商事はジャパン・パビリオンとは別に24小間(216平方メートル)の大ブースを構える。
浮世絵がヨーロッパに知られ、ジャポニスムが流行したのは1867年のパリ万博がきっかけだった。誰もが胸躍る博覧会の場で、ジャパン・ブランドはいま一度人気を博せるか。