コンプライアンス支える検査機関
2003年09月18日 (木曜日)
グローバル化は繊維製品の製造拠点を、中国を中心とした海外に移転させた。海外からの不良品、粗悪品の流入が続けば、消費者の繊維製品に対する信頼性を失いかねない。水際での検査、あるいは現地での指導が重要である。日本の検査機関は、こうした時代の要請を受け、素材だけでなく、二次製品の試験、検査、検品も行う。また、現地からダイレクトで商品を入れるシステムが本格化するのに伴い、海外での試験・検査・検品事業にも着手する。更に、新しい機能加工などが増えていくことについても、新たな機能評価・測定方法の確立で対応している。コンプライアンスを支える検査機関を紹介する。
ニッセンケン/南通事業所を増設へ
ニッセンケン(日本染色検査協会)のニッセンケン南通事業所(南通天山紡織品検整有限公司)が好調である。ファニーインターナショナル、南通進出口商品検験公司、南通東帝色織有限公司が合弁で設立したもの。試験事業だけでなく、検品事業、検反事業も行うのが特徴だ。
「開設して3年だが、試験、検品、検反の3つの業務を行うということが評価され、現地での認知度が高まってきた。既にフル稼働しているため、450平方メートルの建物を新築して増設することを決めた」という。
現在、日本人スタッフが8人駐在。ローカルを含めて122人の体制である。「月に新規顧客が6社くらい増えている。日本向けは年初65%くらいだったが、更に増えている」状態だ。増設はこうした好調ぶりを反映したもの。
「試験や検査だけでなく、物流機能を付加していくことも今後の課題。また、南通以外で新拠点を構えることも検討している」と、中国での更なる飛躍に向けて準備を進める。
一方、国内では「エコテックス」認証事業を推進。これは、エコテックス国際共同体として世界20カ国の検査機関(1国1機関が原則)が参加し、同一基準(エコテックス規格100)で、繊維製品の安全性を審査するというものだ。
特定のアゾ系染料から出てくる禁止MAKアミン、発ガン性やアレルギー誘発性染料、ホルムアルデヒド、フェノール類、塩素系芳香族化合物、有機スズ化合物など有害物質の使用を禁止、または規制する。
「世界で統一した透明性が高い規格。人体への安全性に関して最適な繊維製品であることを認めれば、認証ラベルを発給する。ラベル表示で、消費者の安心感も増大する」。既に180件(分類別では240件)を認証し、とくに乳幼児や中衣向けの商品の認証が多いようだ。
カケン/寧波に試験室開設
カケン(日本化学繊維検査協会)は、寧波出入境検験検疫局紡織品検測中心と業務提携、8月20日に中国浙江省寧波市で「寧波試験室」(田中敬室長)を稼働させた。中国第5番目の拠点。国内では環境試験室、クリーンルームを10月に新設し、繊維製品の信頼性を高める業務活動を推進する。
新機能測定では、マイナスイオンの測定のほか、光触媒、UV(紫外線)ケア加工製品、吸水速乾素材の試験などを行う。夏の水着でも、日焼け止めオイルが水着に付着して変色したり、プールの塩素が変色や劣化を引き起こす可能性がある。製品面でのクレーム防止には、性能評価が欠かせない。
こうした機能アップに向けて、10月には大阪事業所内に環境試験室とクリーンルームを開設する。環境試験室は25平方メートルで、室内温度はマイナス10~50度に調整でき、湿度は30~80%に対応。クリーンルームは4平方メートル、清浄度はクラス100で、フィルター関係の試験業務を行う。本部内には4月から「相談センター」を設置し、試験方法や表示などの問い合わせにも対応する。
海外では寧波試験室を開設した。約950平方メートルの床面積。日本人スタッフ2人を含め、25人でスタートし、業務拡大に応じて増員も検討する。
5月から日本人スタッフを常駐させ、カケンとの手合わせ試験、現地スタッフの研修を繰り返して、日本と変わらないデータの信頼性を出せる体制にした。
中国での事業はこのほかに、上海科懇服装検験修整有限公司、香港検査所、青島試験室、大連試験室があり、日本と変わらない物性・分析・検査などの試験ができる体制を整えている。
QTEC/無錫に試験センターを
QTEC(日本繊維製品品質技術センター)は6月に中国の無錫出入境検験検疫局と提携し、無錫出入境検験検疫局糸紡検測中心内にQTEC無錫試験センターを新設した。日本向け繊維製品の品質試験業務を行う。
日本人スタッフ2人を派遣し、ローカルを含めて10人体制でスタート。「日本国内と同様な正確なデータによって信頼のできる報告書をクイックに発行する」という。ISO、AATCCなど国際規格、海外規格による試験も実施可能である。
国内では2年に1冊のペースで、「まんが苦情事例分析入門」を発行、4冊になった。表面フラッシュ、スナッグ、洗濯による変色などをテーマに、誰にもわかりやすく説明した内容で、教育用にほしいという要望もある。
「コンプライアンスをテーマにセミナーを開いたら、来場者が多かった。安全や高品質に対する関心は高い。第三者機関としての期待と役割も大きく、様々な要望に応じていく」と、コンプライアンス時代を支える。
ボーケン/建材の性能評価業務始める
ボーケン(日本紡績検査協会)は、常に測定・評価方法の改善を進め、より実態に即した検査に注力している。
環境への配慮がクローズアップされるが、ボーケンは今年4月に、改正建築基準法に基づく国土交通省指定性能評価機関として指定された。繊維関係の検査機関では初めてのケースという。ボーケンでは繊維関係を中心に性能評価業務を行うが、繊維関係のインテリア類だけにとどまらず、建材や床材、壁装材に含まれるホルムアルデヒド、VOC(揮発有機化合物)など室内空気汚染物質の放散速度の測定、ホルムアルデヒド発散建築材料の性能評価業務を開始した。これら一連の業務をボーケンでは「幅広い分野でクリーン環境の実現をサポートしていく」ものと位置付けている。
このところ光触媒が話題となり、カーテンやカーペット、更に衣類や寝装品にも使われている。しかし、これに関してJIS基準は設定されていないが、JIS化に向けた委員会の一員としてボーケンも加わり、活動している。
また、昨秋は花粉の評価業務も始めたが、更に測定方法の改善を継続していくほか、カシミヤとウールなど獣毛繊維でDNAによる識別、鑑定の研究を行っている。
ボーケンは8月に大阪市中央区瓦町に「シティラボ 本町」を開設した。今後も、業務の充実とともにサービスに努めていく考えだ。




