東レ/高吸放湿ナイロン/「キュープ」を拡販

2003年10月08日 (水曜日)

 東レは、高吸放湿ナイロン長繊維「キュープ」に吸汗速乾性、防透け性、接触冷感性をそれぞれ付加した3タイプの新素材を開発し、04春夏向けからインナー、パンスト用途を中心に販売する。従来品(2タイプ)を加えた「キュープ」ファミリーの年間販売計画量は初年度1200トン、3年後1800トン。従来品の実績は800トン弱だった。新タイプを投入することにより東レは、減少傾向にあるパンスト用途のナイロンの需要維持を図るとともに、インナー分野でのメンズ用途を含む拡販を目指している。

 今回開発した新タイプは、吸汗速乾性を持つ「キュープアクア」、防透け性を持つ「キュープラテ」、接触冷感性を持つ「キュープクリアクール」。いずれも「キュープ」の高吸放湿性によるムレ感の軽減性能をそのまま維持しながら新たな機能を付与した。

 「キュープアクア」は、繊維断面をトライポット型にすることで糸を構成する単糸間に空隙を作り、毛細管現象による優れた吸汗性を実現した。また、トライポット型断面により繊維の表面積が大きくなることから速乾性にも優れる。

 「キュープラテ」は、可視光線や紫外線(UV)を高効率に遮蔽する特殊無機粒子をナイロンポリマー中にブレンドし、防透け性とUVカット効果を実現した。「キュープラテ」の防透け性は83%(従来品72%)、UVカット率はUV―Bに対して96%(同72%)、UV―Aに対して90%(同66%)。

 「キュープクリアクール」は、ナイロンポリマー中にブレンドする特殊無機粒子を、屈折率がナイロンポリマーに近いものとした。これにより、可視光線が衣服に照射したときの入射光の屈折率が小さくなり、光を透過しやすくなる。このため、ブライトと同水準のクリアーな透明性を維持するとともに、接触冷感を高めることを可能にした。

 「キュープ」は、東レが世界で初めて開発した高吸放湿ナイロンであり、綿に近い高吸放湿を持つ。これまでは、レギュラータイプの「キュープ」と超ソフトタイプの「キュープマイクロ」を販売してきた。新タイプの糸値は、レギュラーナイロンに比べて3割高、レギュラー「キュープ」に比べて1~2割高となる。

 従来の「キュープ」の用途は70%がレッグ(パンスト、タイツ)、30%がインナーだったが、新タイプを加えた1800トン販売体制ではインナー比率を60%に拡大する。レッグ用途は東レからの糸売りであり、インナーではニット生地の販売も含む。