JC2004の見どころ/素材編/JC2004への提案
2003年12月02日 (火曜日)
ジャパン・クリエーション(JC)2004では、多様な業種・産地から多彩なテキスタイルや製品が一堂に会する。それは、新たな情報発信の場であるとともに、馴染みの―あるいは未知の―ユーザーとの出会いの場でもある。各出展者の、自信の提案を紹介する。
東洋紡/「快適サイエンス」軸に
東洋紡は、「快適サイエンス」に基づくスポーツウエア用の機能性素材を中心に出展する。さらに、ポリオレフィン弾性繊維「DOW XLA」や機能性ニットシャツ「Zシャツ」を訴求。製品での展示を増やし、実ビジネスに結びつける姿勢を強めている。
「快適サイエンス」は、東洋紡独自の快適性評価技術と糸、織・編み物製造技術を背景に生み出された機能性素材。JCでは軽量ナイロン織物「シルファイン20」(20D使いで1平方メートル当たり約35グラム)と、それをベースとした「アクアベント」「サイレントショット」を訴求する。「アクアベント」は防水透湿のポリウレタンコーティング素材。コーティング材の中に「シークレットパウダー」を入れて吸湿性を高めている。そのため、べとつかず肌離れが良い。「サイレントショット」は防水透湿のラミネート素材。ウインドブレーカーを着用して動いたときに発する音を抑える。東洋紡は、ハンガーサンプルに加えて製品を準備し、会場で試着・実体験できるようにする。
「Zシャツ」は、吸汗速乾性とストレッチ性を併せ持つニットシャツ。東洋紡の糸を原料にして、インドネシア子会社を使って編み立て、縫製し、製品展開している。ビジネスシャツ、サービスユニフォーム、カジュアルシャツ、アウトドアウエア、レディースオフィスシャツの5パターンで出展する。
「DOW XLA」は、東洋紡が米国のダウ・ケミカル社から日本国内での独占製造・販売権を取得した、世界初のポリオレフィン系弾性繊維。ソフトなストレッチ性と耐熱性、耐薬品性などを特徴とする。JCでは、糸、生地サンプル、製品サンプルを展示する。
日清紡/ミアイが作る国産生地
日清紡の出展テーマは、「国産生地 メード・イン・ミアイ」。同社の美合工場(愛知県岡崎市)が商品化したこだわりの国産品を見せる。
例えば、W&W性が3・5級(5回洗濯でほとんどシワが残らない水準)以上という綿100%のノー・アイロン・シャツ、「ノンケア」。ドレスシャツとしてはすでに商品化されているが、婦人用のシャツ、ブラウス素材の開発も進めている。
ナノ(10億分の1)メートルサイズの銀粒子を繊維に浸透させるという新しい技術で作った抗菌防臭加工生地、「エージーフレッシュ」も注目されそうだ。抗菌剤をバインダーで生地に固着させるという従来型の抗菌加工法には、(1)生地が硬くなる(2)洗濯耐久性が悪い(3)他の加工との併用が難しい――などの欠点があった。ところが、バインダーを用いない「エージーフレッシュ」にはこれらの欠点がない。
機能性を売り物にする生地としては、これらに加えて「日本初の新技術」を使った新しい素材も披露する予定だという。
一方、風合いを売り物にする生地としては、綿100%なのに伸縮性が高いという織物、「スーパーソフト・ナチュラル・ストレッチ」を出展する。糸使いや織り方の工夫で、ふくらみ感を出し、かつ通気性を高めた。また、ハリ・コシ、滑らかさを付与する「エベイユ」加工も提案する。
昨年のJCでは、バナナの茎から取り出した繊維で作った生地を発表したが、今回はパイナップルの茎から取り出した繊維で作った生地も発表する。綿70%・パイナップル30%混生地として試作した。もちろんバナナ繊維混生地も、完成度をより高めて出展する。「着心地がいい素材ということで選んだら、たまたまバナナ繊維使いだった」と言ってもらえるような商品作りを目指したという。
シキボウ/新内外綿との共同提案
シキボウ・ブースの目玉の一つは、隣接する新内外綿ブースとの共同提案。連結対象子会社となった新内外綿との共同開発商品を提案するとともに、それぞれの顧客に両社の総合力をアピールする。
シキボウ単独の出展商品は、織物が50点、編み地が29点だ。織物では、東レと共同で企画した「早乾(はやがわき)」を披露する。生地が含む水分率の低下速度と臭気発生の相関関係を両社共同で研究、「臭気の発生領域」を発見した。「早乾」は、その領域に触れない速乾性を備えたポリエステル綿混生地群で構成される。東レの吸水速乾ポリエステル長繊維「セオ・α」のカチオン可染タイプ、芯鞘構造のポリエステル短繊維「アルフィックス」を採用。綿の深部をそ水化し、表層部を親水化するシキボウの「テンギール・ドライ」技術と組み合わせて商品化した。普通の同規格品に比べると平均で約4割速く乾く。
また、化粧品に使用されているα―アルブチンを配合した「ウリアントαホワイト」、「泥」に含まれる天然ミネラル成分で保湿性を付与した「メルマ」をはじめ、「チャバフレッシュ」、「カウンターペインP」などの特殊加工生地群を「キルテラピー」と名付けて見せる。
編み地では、トリアセテート長繊維と綿を組み合わせて作った「チコリーノ」、連続シルケット糸使いの「フィスコ」、超細番手糸使いの高密度、高品位商品群「マーべラス・コットン」などを前面に出す。また、「シキボウ・スペシャル・スピニング」(SSS)シリーズと呼ぶ新開発紡績糸使いの生地群の一つ、“SWS”も披露する。毛羽極少化糸が話題になっているが、この“SWS”はその逆で、毛羽を意図的に増やした糸を使ったもの。生地段階での起毛とは異なる独特な風合いが特徴だ。
富士紡/会場に化粧品コーナー?
肌、心、ボディーをトータルに考えた美と健康作りを提案するための素材ユニット、「着る化粧品」。富士紡は、この商品群だけでブースを構成する。
「着る化粧品」は、大ヒットした「Vアップ」や、新開発の濃縮日本酒エキス加工、アロマテラピーで世界的な実績を持つバイエル社(イタリア)の「バイセント」に使用されている植物オイルを用いた加工など、“美”と“健康”を切り口に開発した素材群の族商標だ。狙いとする顧客層で2つの群に分かれる。一つはミセス、キャリア層狙いの「コスメプラス」。もう一つはヤング層狙いの「スハダカラ」だ。
両商標のために富士紡は、4つの切り口で様々な生地加工方法を用意した。その切り口とは、“スキンケア”“ヒーリング”“エチケット”そして“スリミング”だ。各加工の組み合わせ、そしてチョイスした加工と素材の組み合わせで、「着る化粧品」の世界は様々な方向へ広がる。
基布についても、話題の精紡三子交撚糸使いなど様々なタイプを用意。顧客の要望に応じてそれらを組み合わせ、各顧客のオリジナル生地として提供することをアピールする。商標の格を損なわないように、各基布と各加工に点数を設定、その合計点が基準点以上に達する組み合わせだけに「着る化粧品」商標を冠することを認める方針だ。
この商品群を提案するために同社は、「JC会場の一角に化粧品コーナーがある感じ」のブースを構える。一辺に「コスメプラス」を、もう一辺に「スハダカラ」を展示。それぞれを、前述の4つの切り口で見せる。
「化粧品を選ぶような感覚で、素材を選んで欲しい」。「着る化粧品」は、そんな発想から誕生した売り方の提案である。今回のJCで富士紡は、この新たな売り方を具体的にイメージしてもらうことに重点を置く。
第一紡績/最新の結束紡糸を披露
第一紡績は、結束紡糸製造日本最大手だ。現在、3機種18台の結束紡機を保有している。同社呼称でいえば、“アーサ”機12台、“IFS”機2台、そして最新機種である“IPX”機が4台(うち1台は試験試作機)という構成だ。“IPX”機で試作した糸種は、番手も計算に入れると100種に達する。今回のJCでは、多様化する“IPX”糸の一端を見せる。
まず、既発売の“IPX”糸をいくつか紹介しよう。綿100%では「タフコット」がある。毛羽の少なさ、抗ピリング性などが売り物だ。レーヨン(「バイロフト」「クラビオン」)とY型断面ポリエステルとの混紡で商品化した「ネーデルドライ」は、吸水速乾性などが特徴。「タフコットA」は、アクリル混であるにもかかわらず4~4・5級という抜群の抗ピリング性を発揮する。
これらに加える形で今回新たに発表するのは、「マイクロ・スクエアー」だ。これは、“超極細毛玉レス”のアクリル、扁平断面レーヨン「バイロフト」、極細レーヨン「バイロフトマイクロ」、静電気抑制アクリルの4者混糸である。マイクロ繊維やへん平断面繊維が空気層を作りだすため、保温性が高い。放湿性もある。抗ピリング性を備えたアクリルを採用していることに加え、“IPX”法で紡績した糸であるため毛玉の発生も少ない。また、導電性繊維を使用しているので静電気抑制効果もある。
このほかにも、様々な試作糸を初公開する。例えば、羊毛とキュプラ、綿の3者混糸。羊毛の発熱性、キュプラの柔らかさ、綿の風合いの融合が魅力だ。インナー用途へ提案する。ハイ・ウエット・モジュラス・タイプなどと呼ばれる、濡れても縮みにくいレーヨンを使った“IPX”糸や、「サンダイヤ」・綿混糸なども披露する予定だ。
新内外綿/モノ作りの仲間作り
新内外綿はシキボウに隣接する形でブースを構え、シキボウと共同開発した素材を紹介する。加えて、個々のユーザーへオンリー・ワン糸を供給するために構築した紡績体制を紹介し、「一緒になってモノ作りしてくれる仲間」を開拓する。
新内外綿の紡績子会社、ナイガイテキスタイルの駒野工場(岐阜県)は、「次の切り替えに備えてどのスライバーを何本用意しておけばいいか」などの切り替え段取りに関する情報を、コンピューター端末を通じて個々の作業員が随時入手できる仕組みを構築した。同時に、作業員の多能工化も進めた。このような工夫を重ねたうえで、紡績設備の全てを、500キロからの小ロット生産を前提に稼働させる体制に切り替えた。作業効率を悪化させることなく、小ロット生産体制を強化したわけだ。
コンピューターを活用したこの仕組みを生かせば、納期を即答することも可能だ。また、過去の試作品についての膨大なデーターもコンピューターに蓄積した。このため、顧客が望む風合いを出すための原料、撚数、混率、番手などの情報を即座に提示できるようになったという。これらの仕組みを新内外綿は、「はやいや~ん」と呼ぶ。
ユーザーにとって「はやいや~ん」は、自分のためだけの特殊糸を小ロットから作ってもらうことが可能な仕組みだといえる。今回のJCで新内外綿は、そんな仕組みを完成させたことをアピールする。アピールするのは仕組みだけでない。ネップ、スラブ、ムラ糸などの形状変化糸シリーズ「おもろいや~ん」、様々な繊維を1~99%の混率で組み合わせる混状変化糸シリーズ「おこのみや~ん」、トップ杢、カラーネップなどの色状変化糸シリー「きれいや~ん」を展示。顧客の要望に応え得る高度な紡績技術を持っていることも、アピールする。




