合繊中間決算を読む

2003年12月04日 (木曜日)

8社中5社が増収/カネボウ除き収益改善

 合繊大手8社の9月中間連結業績は旭化成、カネボウを除き前年に比べると各段階で増益を達成した。旭化成も会計処理方法の変更で減益ながら実質は増益であり、赤字転落したカネボウ以外の7社の収益力が高まっていることが分かる。

 今9月中間決算は8社中5社が増収となり、縮小傾向を脱し始めたことを物語るが、何と言っても収益率の改善が目立つ。

 カネボウは化粧品の営業利益が半減、ホームプロダクツ、食品、薬品が赤字転落、繊維は赤字幅を拡大するなどさんたんたる結果であったが、残る7社は実質的に各段階で増益となった。

 営業増益率はユニチカの約2・5倍を筆頭に、東レ約2倍、三菱レイヨン46%増、東洋紡40%増、クラレ19%増、帝人1・5%増、旭化成も新基準では8・2%減だが、前年の会計処理で比較すると29%増を達成している。

 大幅増益は抜本的な体質強化策が要因の一つだろう。販管費をみると、増益幅が最も大きいユニチカは前年に比べ40億円減、東レは25億円減、東洋紡は36億円減と増益率上位4社中3社が2ケタ億円台の販管費削減を行っている。

 残る4社中3社の販管費は微減か微増で、三菱レイヨンの販管費が1億円増とほぼ横ばいながら、営業利益が46%増となった点は特筆される。

 逆に増益幅が1・5%増と最も少ない帝人は売上総利益が32億円増となったが、販管費も30億円増となった。販管費の増加は医薬医療の研究開発費が21億円増えたことが大きく、伸び率の低さは前向きな投資の結果ともいえる。

 各社の営業増益に大きく貢献しているのはこれまで足を引っ張っていた繊維事業の回復だろう。繊維連結業績で増収となったのは帝人、東レ、三菱レイヨンのみだが、カネボウを除き繊維の実質営業利益は各社とも増益となっている。

 ユニチカ4・6倍、東洋紡2・6倍、東レ2・4倍、三菱レイヨン2・1倍、帝人19%増、クラレ12%増、旭化成も旧基準でみれば67%増と2ケタ%台の伸びを記録した。その中でカネボウだけは赤字額が56億円も増え、78億円の営業赤字となった。

繊維事業大きく寄与/コスト削減、体質強化実る

 合繊大手の収益改善には繊維事業の回復が大きく寄与している。繊維営業利益が4・6倍となったユニチカは合繊子会社のユニチカファイバー(以下、UF)、天然繊維子会社のユニチカテキスタイルとも黒字転換し、営業利益率は0・5%から2・6%へと上昇した。

 UFは売上高183億円と1・1%減ながら営業損益は前年の1億円の赤字から4億7000万円の黒字、経常損益も2億7000万円の赤字から3億1000万円の黒字に転換した。生産コストや営業経費の削減、定番品の縮小などによるもので、とくにナイロンの黒字化が寄与した。

 繊維営業利益が2・6倍の29億円となったのは東洋紡。繊維営業利益率は2・2ポイント上昇し、3・4%に高まった。不採算品の縮小、産業資材、機能素材の拡大が奏功。綿紡織工場3工場への集約化も固定費削減につながった。

 東レは繊維営業利益が2・3倍の94億円にまで拡大、営業利益率は4・4%と2・5ポイント上昇した。とくに、単体の繊維事業が前年の19億円の営業赤字から35億円の黒字に転換したことが寄与している。値上げ、高採算品へのシフト、体質強化策などから単体繊維は全素材が黒字でナイロン長、短繊維、ポリエステル短繊維、アクリル短繊維も水面浮上した。その他繊維は増益となっている。

 繊維営業利益が2・1倍になったのは三菱レイヨン。繊維営業利益率は5%と2・6ポイントと最も向上した。アクリル繊維がけん引車となったほか、トリアセテート「リンダ」が黒字転換した。

 帝人は繊維営業利益が19・4%増となった。パラ系アラミド繊維「トワロン」の増益、流通・リテイルでの増益が寄与した。クラレはビニロン、人工皮革「クラリーノ」が収益向上につながった。旭化成はスパンボンド不織布の増益が寄与している。

 合繊大手の中では取り残されたカネボウは繊維営業損益が56億円も悪化し、78億円の営業赤字となった。天然繊維子会社のカネボウ繊維は経常黒字を確保したものの、合繊子会社のカネボウ合繊は売上高216億円と20%減、経常赤字額は2ケタ億円を計上した。ナイロンは不採算品の縮小で売上高が6割減の19億円まで縮小、操業差損から経常損益は前年の黒字1ケタ億円から赤字2ケタ億円に、ポリエステルは黒字ながら減益、年末に撤退するアクリルも赤字2ケタ億円の赤字を継続する形となった。

ポリエステル苦戦続く/通期も繊維2ケタ%増益

 今上期、繊維の収益改善が顕著だった合繊大手だが、ポリエステル繊維がいまだ水面下が多いという点は共通する。ポリエステル繊維で営業黒字を計上したのは東レ、ユニチカ、カネボウの3社のみ。通期でも黒字転換を見込むのは旭化成だけとポリエステルの水面浮上には、まだ時間がかかりそうだ。

 ポリエステル以外でみると、ナイロンでは東レ、ユニチカが増益黒字だが、カネボウは大幅減収で赤字転落するなど明暗を分けた。アクリルは三菱レイヨン、東洋紡、東レとも収益拡大。とくに三菱レイヨンはアクリル繊維の営業利益が4倍増の12億円に増えた。

 また、合繊大手の重点事業にまで成長した不織布をみると各社各様。旭化成がスパンボンドで増収増益を達成したが、ユニチカは売り上げ、利益とも横ばい。短繊維不織布のクラレは増収減益となった。東洋紡の不織布は非繊維事業だが、スパンボンドは大幅な増収、東レの不織布事業(スパンボンド)は韓国のトーレセハンだが、ポリエステル長繊維含めた繊維売上高は前年比8・7%増の100億円で営業増益となっている。

 通期でも上期の好業績を背景に、合繊大手は大幅な増益を見込んでいるが、繊維営業利益は全体以上の伸びを計画している。旭化成は繊維営業利益が2倍、続いて東レ83%増、帝人52%増、ユニチカ50%増、三菱レイヨン33%増、クラレ17%増、東洋紡81%増とカネボウを除けば2ケタ%以上の伸びを計画する。

 旭化成はスパンデックス「ロイカ」、キュプラ繊維「ベンベルグ」、スパンボンドなど3本柱の収益拡大がポイント。東レは上期の勢いをそのままに大幅増益を狙う。

 帝人はパラ系アラミド繊維「トワロン」の増設分が下期から寄与してくる。三菱レイヨンはアクリル繊維の拡大に加え、上期若干の赤字を強いられたポリプロピレン長繊維「パイレン」とカーペット製造子会社、三菱レイヨンカーペットが課題になる。

 クラレは不織布とファスニングの収益改善に取り組む。東洋紡は上期、単体目標である経常黒字化に満たなかった衣料用ポリエステル長繊維、スパンデックス「エスパ」、汎用テキスタイルなどの収益改善を目指す。