綿・羊毛混素材に脚光

2003年12月22日 (月曜日)

染色加工技術が確立

 秋冬シーズの操業維持に悩む綿紡績にとって、綿・羊毛混素材はありがたい存在だ。このためいくつかの紡績は以前から、それを扱ってはいた。しかし、近年まではマイナーな存在でしかなかった。ところがここにきてにわかに、脚光を浴び始めている。

メジャー化へ環境整う

 防縮ウールを綿で包み込む形でクラボウが商品化した綿90%・羊毛10%混の二層構造糸「ルナファ」。3年前の発売当初は同社自身、「それほど売れるとは思っていなかった」(北畠篤・原料原糸課長)。ところが昨年、その販売量が一気に前年の2倍に増えた。増加の勢いは今年も続いている。東洋紡は3年前に、吸湿発熱性をさらに高めるための特殊加工を施した羊毛と綿の混紡糸を開発した。これが下着素材として爆発的に売れた。

 新内外綿は20年前から綿70%・羊毛30%混コーマ糸を定番として販売してきた。その販売量も、ここへきて増えている。今年度販売量はすでに「17トン」(岩田真人・開発マーケティング部統括マネージャー)に達しており、前年度の年間(4~3月)販売量である20トンに迫っている。

 糸染め業者の間からも、綿・羊毛混糸への需要の高まりを指摘する声が出ている。4、5年前から綿・羊毛混糸の染色を手がけ始めた西陣染色(大阪市東淀川区)は、「アパレルからの注文が増えている」(藤原安博取締役)という。「20年前からクラボウの綿・羊毛混糸『ロストン』を扱っていた」という糸染め業者、共栄染色(兵庫県加古川市)でも、綿・羊毛混糸の染色依頼が増えている。

 需要の高まりを受けて、新たな綿・羊毛混素材の開発意欲も高まった。カネボウ繊維は今春、綿50%・羊毛50%混糸「マジョリティ」を発売。主に婦人セーター市場へ向けて備蓄販売を開始した。今年度は、「50トンの販売を目指す」(西橋妙ニット製品チーム係長)。

 龍田紡績は、綿をわたの状態で精錬したうえで羊毛と混紡することで、染色後に目立つ綿カスを取り除くことに成功。パステルカラーにも染まることを売り物にした綿80%・羊毛20%混糸、「パナコットウール」を商品化した。04秋冬向けに販売し、子供服、婦人肌着素材として「3~4トン」(上田一郎取締役)の生産を見込む。

 東洋紡は04秋冬向けに、特殊混繊羊毛糸「マナードW」と綿の複合素材も展開し、綿・羊毛混糸の合計展開規模を「年間150トン」(諏訪次郎・毛糸販売グループ主幹)に拡大する計画だ。

 綿と羊毛の組み合わせは、簡単なようで実は非常に難しい。植物性繊維である綿は、アルカリに強いが酸には弱い。ところが、動物性繊維である羊毛は、その逆の特性を持つ。このため、とくに染色加工に特殊なノウハウを必要とする。

 綿・羊毛混糸を早くから扱っていた企業の一つ、同興紡績は、初秋向け素材については綿を得意とする染工場で加工し、綿の風合いを強調。逆に梅春向けには羊毛を得意とする工場で羊毛の風合いを出すといった工夫で、同素材の市場を開拓してきた。

 クラボウの二層構造の綿・羊毛混糸「ルナファ」の染色を担当する共栄染色は、「羊毛と綿双方の特色を併せ持つ素材感を表現する」(野口輝二社長)ことにこだわって、その染色加工ノウハウを確立した。

 綿紡績の開発意欲の高まりと、それに呼応するかのような染色加工業者の技術開発の進展。綿・羊毛混素材をメジャーにするための環境が整い始めた。