日本企業の中国戦略/東レ(2)TFNL、ナイロン生産へ

2004年01月20日 (火曜日)

ポリエステルは差別化

 江蘇省の合繊製造子会社、東麗合成繊維(南通)有限公司(略称TFNL)は05年1月からナイロン長繊維糸の製造を始める。

 同社は、ポリエステルチップと同レギュラー長繊維糸を連続重合・直接紡糸により生産・販売するために95年に発足。その後の中国ポリエステル長繊維糸の生産規模急拡大と市場構造の変化に対応して、収益体制確立のため、今月初めからチップ紡糸によるポリエステル差別化長繊維糸の生産を始めた。同社は、従来の定番POY―DTYに加えて、フルダル糸、原着糸、カチオン可繊糸、複合糸などの差別化糸を生産。正式決定はまだだが、さらに、06年からは、バッチ重合によるポリエステル差別化糸生産も計画している。

 ナイロン工場は今年4月、建設に着工、チップスタートの紡糸機5台を新設し、05年1月から生産を開始する。同年4月からフル稼働に入る予定だ。ナイロン生産は、競合がほとんどない高品質・細繊度糸の市場獲得を狙ったもの。用途はパンティーストッキングや衣料用テキスタイル。日系パンストメーカーや経編みメーカー、中国国内の経編みメーカーなどに販売するほか、隣接する織布染色工場、東麗酒伊織染(南通)有限公司(略称TSD)へも糸を供給する。

 さらにTFNLでの縫い糸用および不織布用ポリエステル短繊維やスパンボンド不織布の生産も、東レはこれからの検討課題としている。中国ではとくに、衛生材料関係の不織布の伸びを見込む。