「ドライリリース」で市場拡大/帝人ファイバー/三井物産/富士紡

2004年01月21日 (水曜日)

 帝人ファイバーは20日、三井物産、富士紡と共同で会見し、富士紡が生産する吸汗・速乾性の高い紡績糸「ドライリリース」と、帝人ファイバーが生産する特殊ポリエステル長繊維糸を交編、交織した加工反を、3社共同で開発したと発表した。三井物産が、05春夏スポーツ衣料素材として3月から販売する。

スポーツ衣料素材を開発

 帝人ファイバーが「ドライリリース」使いの生地を商品化したのは今回が初めて。帝人グループのテイジン・ポリエステル(タイランド)が、「ドライリリース」用専用のポリエステル短繊維を富士紡へ供給している。このことが、今回の3社共同開発の背景にある。

 「ドライリリース」と交編、交織する素材として帝人ファイバーの特殊ポリエステル長繊維糸(4つ山扁平の「ウェーブロン」、PTT繊維の「ソロテックス」など)を採用したり、特殊構造生地製造技術(三層構造吸汗速乾生地「トリプルドライ」、二層構造吸汗速乾生地「アクアドライ」、高密度防風編み地「ウィンドバリア」など)を応用することで、吸汗速乾性に加え、防透性やストレッチ性など様々な機能を付与した。

 編み立て、織布、加工は国内で行う。新原料リサイクルのポリエステル糸「エコペットEC100」との交編、交織や、二次製品回収による“繊維to繊維”のリサイクルシステムへの組み入れなど、環境対応商品としての展開も予定している。

 用途はアスレチック、ゴルフ、テニス、アウトドア・シャツ、パンツなど。初年度は、編み地で20万メートル、織物で10万メートルの販売を見込む。アパレル入り値は、編み地が1メートル当たり800~1000円、織物が同750~950円。東西で今月開く帝人ファイバーの05春夏スポーツウェア素材展で披露する。大阪ではきょう21日から23日まで大阪市中央区の帝人ビルで、東京では27~28日に東京都中央区のプラザマームで開催する。

アジア生産/年間100万ポン ドへ

 三井物産によると、吸汗速乾性の高い紡績糸「ドライリリース」のアジアにおける生産量が拡大する。アジアにおける同糸の生産は、富士紡が独占的に行っている。03年5月までの1年間の生産量は、80万ポンドだった。これが100万ポンドに拡大する見込み。

 「ドライリリース」は、米国のオプティマ社が開発したもので、疎水性繊維を85%、親水性繊維を15%使用した紡績糸。日本では、富士紡が00年に独占輸入権と日本における商標の独占使用権を取得。01年にはアジアにおける独占生産権も獲得した。三井物産は01年に富士紡との間で、富士紡が生産する「ドライリリース」を一手に販売する契約を結び、日本をはじめ、米欧へ販売している。

 富士紡が生産している「ドライリリース」の50%が日本で、45%が米国で、5%が欧州で消費されている。年産量が100万ポンドへ増える見込みになったのは、「カッター&バック」「ジョッキー」などの米国ブランドの極東縫製品に採用されたため。「ドライリリース」の世界生産規模は、700万~800万ポンド。富士紡の生産が見込み通りに増えれば、世界生産の13%前後をアジア生産が占める形になる。