「クオータ後」で意見交換/世界繊維経済フォーラム

2004年02月25日 (水曜日)

 中国紡織工業協会は3月29日、グランドハイアット北京(北京東方君悦大酒店)にて「世界繊維経済フォーラム」を開催する。同フォーラムは「クオータフリー時代、輝ける未来を」をテーマにし、中国内外の繊維関連企業、業界団体、組合、ジャーナリストなどが多数集い、世界貿易機関(WTC)の繊維協定(ATC)が終了した05年以降の世界繊維産業の行方と共通の課題について意見交換する。

このフォーラム開催と時期を同じくして、「中国国際アパレル展(CHIC)」(3月30日~4月7日)、「インターテキスタイル北京」(3月31日~4月2日)、「中国国際ニット展」(3月31日~4月2日)、「ヤーンエキスポ」(3月31日~4月2日)が北京で開催される。

 世界繊維経済フォーラムでは、中国、ドイツ、インド、米国(2)、フランス、韓国、パキスタン、台湾、日本の各繊維団体に加えて、世界貿易機関、欧州繊維産業連盟などの講演を予定している。日本からは、日本繊維産業連盟の八木國雄事務総長が参加し、「日本繊維産業の現状と世界繊維貿易の今後の秩序」と題して講演する。

 同フォーラムの開催に際して杜 洲・中国紡織工業協会会長は次のようなあいさつを寄せている。

運命共同体として協力・発展を世界繊維経済フォーラムによせて杜金玉洲・中国紡織工業協会会長

 経済のグローバル化の進展で、中国と世界の距離は急速に縮まった。技術革新による生産力向上、自由貿易による世界の分業化、創造力は過去のどの時代よりも華々しく、開花の時代を迎えている。グローバル化による機会と挑戦は、例外なくほぼすべての国と地域にもたらされ、先進国と発展途上国、富める地域とそうでない地域の別なく大胆な選択を迫られることになるだろう。こうした時代にあって、運命共同体として相互にリスクや矛盾を共通の課題とし、それらを克服していかなければならない。また、発展へのチャンスは、ともに享受されるべきものだと考える。

 こうした認識のもとに、本フォーラムでは「協力、発展」を趣旨とし、「クオータフリー時代、輝ける未来を」をテーマに貿易の自由化を前提とする世界の繊維経済と貿易発展傾向、国家間、地域間の産業協力の新たな可能性など共通の歴史的課題を具体的に探求したいと考えている。

 中国の工業化の過程にあって中国繊維産業の果たす役割は非常に大きい。中国の人口は世界人口の5分の1を占めている。その国民一人ひとりが安定した暮らしを手に入れること、すなわちそれは中国の繊維産業の持続的成長を可能にする最も重要な原動力となる。 現在、我が国の繊維加工は世界の30%を占め、国内消費は自国の繊維加工全体の80%を占めている。同時に、中国の繊維製品の輸入も高成長を遂げている。中国の繊維業界の輸出全体に占める外資系企業の割合は35・74%。繊維製品の輸入全体に占める外資系企業の割合は68・3%。このほか、国籍を超えた生産方式の進展で、中国は世界最大の繊維技術、先進設備、綿花・科学繊維資源の市場となり、最も重要な繊維産業の投資市場となった。

 世界の繊維製品で3分の2以上のシェアを誇る先進国は、進んだ研究開発力と製造技術、市場の動向に即座に対応できる先進管理方式、世界に通用する経営ノウハウを有している。一方、発展途上国は中国同様、安い労働資源と低コスト、民族文化特有の創造力、また各自優位性を持っている。様々な発展段階にある国家間に広く存在する相互補填性は、新しい国際分業の重要な基礎になるものと、私は確信している。また、国境を越えた研究開発、販売、買付け、消費を含む生産方式は、全く新しいタイプの国際分業の方式であり、これは当該産業での全面移転を特徴とする従来の国際分業のあり方とは根本的に区別されるものである。

 中国紡織工業協会は将来、各国との間に広範な協力関係を築くことに大きな自信と期待を寄せている。