アジア特集3/この春、北京に繊維が集う!!
2004年03月24日 (水曜日)
4つの展示会が同時開催
3月末から4月初めにかけて北京で時期を同じくして4つの繊維・アパレル関連展示会が開催される。世界の繊維の中心地となった中国の首都に世界中から人が集まり、国境をまたぐビジネスがさらに活発化する。中国最大級の衣料用繊維素材展示会「インターテキスタイル北京」に糸の「ヤーンエキスポ」、アパレル展示会の「中国国際服装服飾展覧会」、ニット生地・衣料品の「中国国際ニット博覧会」と関係者は北京市内を駆け回ることになりそうだ。
要望高まるヤーン展/インテキの集客力にも期待
紡織品の元となる糸。その交流を川上、川中、川下の各段階で増やしたい。あらゆる種類の糸が出品される「ヤーンエキスポ」はそんな事情から始められることになった。今回の北京が初開催で、主催者のメッセ・フランクフルト香港の推計によると、出展企業は150社ほど、来場者は約5000人に上る見込みだ。同社関係者は、「糸業界全般を見渡したものであり、織布業者やニッター、アパレル、寝装・インテリア製品の各関連業者すべての方々に見てもらう価値がある」と開催前から意気込んでいる。
出展企業の中には、国を挙げて参加するところもある。インド綿紡織品輸出促進会は、24社の綿紡績企業を引き連れ、インド最新の綿糸を紹介する。紡織産業はインドの工業生産高の2割を超え、世界への糸輸出量は全体の25%を占めるという。「インドの綿糸供給者と中国の企業の協力関係を築きたい」と出展するインド企業関係者は中印の結び付きを強める考えだ。
「インターテキスタイル北京」はいわずと知れた中国最大級の衣料用繊維素材展示会。上海ほど大規模とはいかないものの、昨春は22カ国・地域から476社の出展者を集め、会場には62カ国・地域から1万3000人弱が訪れた。今回、日本企業は30社弱が参加。日本製テキスタイルの対中輸出機運が高まる中で、上海と北京で継続的に“メード・イン・ジャパン”を発信する。この展示会には、4展示会の中でもとくにその集客力に期待がかかる。
「中国国際服装服飾展覧会」は、9日間と最も会期が長い。メンズ、レディース、子供服などテーマごとに日を分けて催される。4日の「オリンピックデー」は、08年に控える北京五輪を意識したもので、中国オリンピック委員会が入札関連規定を発表するほか、日本ユニフォームセンターが「オリンピックにおけるユニフォームの役割」をテーマにセミナーを開く。
「中国国際ニット博覧会」は、中国紡織工業協会が主催し、中国国際貿易促進委員会紡織産業分会、中国ニット工業協会、中国毛紡織業界協会が協賛する専門的な貿易展覧会となる。第1回は昨年上海で開かれた。
中国のニット産業は発展の新段階にあるとともに、“南強北弱”、“東強西弱”といった地域的な偏りがみられる。とくに成長の立ち遅れている地域の発展のため、紡織産業で有名な地域の企業の参加を促したほ
か、出展する西部の中小企業などに対し優遇策を提供した。
日本繊維輸出機構(JTEO)輸出事業推進委員会委員長・山下雅生氏
昨秋の「インターテキスタイル上海」で初めてジャパン・パビリオンを設けることができた。北京展には上海展とは違う市場がある。上海でせっかく灯した灯を消してはならないと判断し、こちらにも継続して参加することを決めた。
日本企業がまとまり始めたとはいえ、展示会への出展はまだ「点」でしかない。例えば常設展示場の設置など、この「点」をいかに「線」へつなげていくかが重要な課題だ。JTEOとして、日中の繊維業界の交流を深められるように努力したい。中国と日本のニッターやテキスタイルメーカー、アパレルメーカー、小売りなど様々な企業が協業していけば、今後、これまでにはなかったような新たなビジネスチャンスを創造していけるだろう。昨年の上海展への出展は、そうした未来への第一歩であり、今回の北京展でさらに前に歩を進めたい。