ダイワボウの「メタックス」注目の電磁波シードル材

1998年12月14日 (月曜日)

 消費不況の中で、乱戦とはいえ携帯電話は今年のヒット商品である。「ヤングの衣料消費の一体何割が、携帯電話に奪われたのか」―。そんな会話が交わされた一年だが、繊維業界側からの積極的な提案もあった。電磁波シールド材である。

 ダイワボウは、電磁波シールド材「メタックス」を開発、多用途に展開している。「メタックス」は、過去十五年にわたる技術ノウハウをもとにした無電解メッキによる金属繊維。ポリエステル、ナイロン、アクリル、綿、レーヨン、炭素繊維などに銅、ニッケル、銀メッキ加工した。わた、糸、布のいずれの形状でも加工できる。

 シールド機能は三〇メガヘルツ~三〇ギガヘルツの範囲で、四〇~六〇デシベルの減衰効果。「VCCI(情報処理装置等電波障害自主規制協議会)の二種に合格するための最適素材」と言う。

 また、極めて薄い金属皮膜のため、加工性が良く、フレキシビリティに富む。難燃素材との組み合わせで、難燃電磁波シールドクロスも可能だ。メッシュ織物へのメッキは透光性にも優れ、透明樹脂プレート加工でディスプレー用、のぞき窓用にも展開できる。

 布帛は電磁波シールドクロス、ケーブル材に。メッシュはプレート材、糸はクロス用に販売する。わたは、制電材、抗菌材など産業資材用途が中心だ。

 同社は、ノイズ研究所(本社・川崎市、藤垣正純社長)、村崎内装店(同・福井市、村崎肇社長)と共同で、「メタックス」を主要材料にした「ウェーブ・シャット」を開発、十月から既存建築物の電磁波シールド化事業を開始した。

 同事業は、既存建物の全室または一部を簡便な内装工事手法で電磁波シールド・ルーム化し、外部の電磁波の影響を低減させるもの。また、内部で発生した電磁波の外部漏れも防ぐ。

 「メタックス」を使用して、壁紙と両面テープを用いた乾式工法で貼り合わせる内装工事のため、工事も簡単で短納期対応が可能。顧客要求に合わせ、窓などの開口部や電気設備も極力施工前の状態に復旧できる。

 目的や要求シールドに応じた設計、施工で、工事費も、一平方メートル当たり一万数千円と従来工法に比べて安い。対象は大手建設会社と一線を画するため、既存建物に限定。全国の電気・電子機器販売代理店や設計事務所をチャネルとし、企業、学校、家庭などの内装工事を行っていく。

 「メタックス」は同社の特化・差別化素材の重点商品に位置付けられており、独自のコア技術により、新しい事業領域を構築する典型例である。