夏季総合特集(3)中国繊維ビジネス/検査機関
2004年07月28日 (水曜日)
拠点と機能が充実
日本向け、内地販売を問わず、中国生産で最も気を使うのが品質管理やクレーム処理だろう。日本の各種検査機関が中国に拠点を設けて久しいが、中国生産が当然のものになった今、現地でのソービス提供機能も格段に充実している。
ニッセンケン/南通市中心に検品業務開始
日本染色検査協会(ニッセンケン)は、南通地区で検品業務を行う「南通祟川区検品センター」を19日に稼動させた。
南通事業所(南通天山紡織品検整有限公司)の合弁パートナーでもあるファニーインターナショナルと、現地企業・南通飛馬との合作「南通吉馬紡織検整物流中心有限公司」内で、日本人4人と現地スタッフ80人が業務に携わる。
開設3年の南通事業所でも試験、検品、検反の3つの業務を行っており、拡大している。今後は物流機能まで付加した形で運営し、扱い品目も、パートナーの事業内容に従って品目的にも多種多様な業務拡大を行う予定である。
同時に、南通事業所も800平方メートルの建物を新築・増設し、今月中にオープン予定だ。南通から日本および海外への輸送インフラも数年後には整備される見通しにあることから、検査から物流までの一貫サービスは今後さらに価値が高まると見ている。
一方、上海・浦東でも、上海幸和経験有限公司の1フロアを借り受け、今秋から一貫サービスを開始する。上海では現在も検品・検反業務を一部行っているが、日本の得意先の強い要望に応え、専任スタッフをそろえ業務を開始する予定。
これらによりニッセンケンの中国内スタッフは、南通事業所の150人を筆頭に増員するが、無錫、寧波などからの依頼も多く、将来的には相当規模の体制を目指すという。
もう一つの柱事業「エコテックス」関係では、世界26カ国が集まる国際会議が、ニッセンケンを議長に11月3~5日に京都で開かれる予定だ。
カケン/6拠点目を無錫に開設
日本化学繊維検査協会(カケン)は、中国で6番目となる拠点を無錫に開設、8月から業務を開始する。
香港、上海、青島、大連、寧波に次ぐもので、中心拠点である上海科懇服装検験修整有限公司(上海科懇)からは150キロメートルに位置する。上海はメーカーにとってMD拠点になりつつあり、生産地に拠点を設けて小回りの利いたサービスを提供する。
無錫の開設で日本向け製品の検査体制が強化されることから、上海科懇は内販対応を本格化させている。日本の試験所認定制度(JNLA)の現地版(CNLA)の取得準備を進めるとともに、国家が定めるGB基準と各種業界団体が作る業界基準、さらには個別企業基準も扱う。
日本向け製品の最近の傾向としては、GMSや通信販売で機能素材の採用が増えていることから、染色堅ろう度や耐洗濯性だけでなく、幅広い分析機能が求められているという。
このため、上海科懇では現地スタッフの技能向上に努めるとともに、中文テキストを用意した中国人向け「上海セミナー」を開き、カケンの業務内容、日本の法律、試験項目の説明など、品質意識を高める啓もう活動も行っている。
上海科懇では国際的なリスクマネージメント企画「CSM2000」の認証を9月にも取得する予定だ。
また、カケン本部と日本国内10拠点をインターネットで結び、小売業などが工場選定の基準となる試験データなどをデータベースで閲覧できるネットワークサービスも行っている。現在は国内の活用にとどまっているが、中国でもインフラが整備されている地域なら利用可能だ。
ボーケン/上海で7月から抗菌試験
日本紡績検査協会(ボーケン)では、中国での検査依頼件数が年を追うごとに伸び続けている。今年も青島、常州の試験セーターを含めて、検査件数は20%増加する見通しだ。
最近は中国でも定番的な試験だけでなく、日本と同様に新たな検査の要請が増えてきたのが特徴だ。例えば、花粉が落ちやすいかどうか、オゾンに対する色変化、吸水速乾性など。ボーケンは中国の政府機関と協定しているため、現地の検査機関が保有する高額な検査設備も活用できる。このため、アゾ系染料の有無など、幅広い検査をできるのも大きな強みである。
また、ボーケンは7月からは新たに、上海試験センターでも抗菌試験を始めた。「中国に進出した日本の検査機関で、抗菌試験まで行なっているのはボーケンだけ」(中村篤信専務理事)だ。中国でも昨年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行以降、抗菌機能に対する関心が高まっているため、日系企業だけでなく、ローカルの企業もボーケンの抗菌試験に強い関心を寄せているという。
抗菌試験は微生物を相手に行なうため、試験データにばらつきが出やすい。試験に当たっては、抗菌性能に対する知識や熟練度が要求される。このため、設備を導入して人員を配置するだけでは、なかなか同試験を行なう体制を整えられない。
中国では2年前に、中国抗菌材料及制品行業協会が設立されている。繊維製品とプラスティック製品の両方をカバーしており、抗菌性能があることを証明する「CIAA」マークを発行する。中国には現在、同協会が認定した抗菌試験を行なうところが6機関ある。ボーケンは同機関と交流しており、JIS検査の指導なども行なっている。
QTEC/順調推移の中国3拠点
日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は中国における業務対応として96年、上海にSIC―QTEC品質評価センターを設立した。その背景には「国内製造業の空洞化」の顕著化があり、国内工場の中国移転に伴って「(中国進出への)顧客ニーズが高まった」ためだ。現地での検査依頼は当初から倍増ペースで伸び、今でも2ケタ増で推移している。
QTECでは「依頼者の要望に応じて、変化・対応していくスタンス」にある。上海以降は01年青島に、昨年6月には無錫に試験センターをそれぞれ設置。これらについても着実な推移を見せている。上海進出当時、「ここまで大規模になるとは予想しなかった」という。
現状検査対象の95%以上がアパレル製品。無錫では羽毛検査もスタートしている。また少ロット多品種化で検査項目は増えている。日本国内と同じ方法、同じレベルでの検査を実施。日本からは出張による対応が多いが、現地スタッフも拡充している。日本向けの繊維製品(主にアパレルや量販店対応が中心)の品質検査に加えて、一部では「工場や検品への指導・アドバイス」といった要望も出ている。
現地スタッフの多くは専門学校・大学卒で、「仕事の飲み込みは早い」。当初懸念していた人の移動は、ほとんど皆無だという。人材教育の一環として、日本の試験センターでの研修(1回に2人)を実施している。
現在中国では3ヵ所だが、「時代の潮流」もあることから今後も拡大傾向にある。ただ限られた人数のため現状具体的な計画はないものの、「その心積もりはある」。その一方で国内における対応を「今後もきちんと整備していくことが重要」とし、それを怠ると「技術の空洞化につながる」と指摘している。




