東レ/高機能素材 倍増100億円目指す
2004年09月03日 (金曜日)
テフロンの自社生産開始
東レはフッ素繊維「テフロン」「トヨフロン」、PPS繊維「トルコン」などの耐熱性が特徴の高機能素材事業で、現状比倍増の売上高100億円を目指す。
現在、フッ素繊維、PPS繊維の売り上げ規模は約50億円。テフロンは米国のトーレ・フロロファイバーズ・アメリカ(TFA)、トヨフロンは東レ・ファインケミカル、トルコンは本体で生産。その指令塔が本体の機能素材事業室になる。
テフロンは02年、米デュポンから買収後も、デュポンに生産を委託していたが、炭素繊維製販子会社、トーレ・カーボン・ファイバーズ・アメリカ(TCA)隣接地への設備移設を完了。9月から自社生産を開始したことから「フッ素繊維、PPS繊維の相乗効果を発揮できる基盤作りは完了した。来年からが勝負の年」(池田政綱機能素材事業室長)と位置づける。
ただ、3素材だけでは100億円乗せは難しいことから、新たな機能素材の開発、導入なども視野に入れる構えだ。
3素材とも主力はフィルターバグ(ろ過布)。とくに、テフロンはガラス繊維混ニードルパンチ不織布「テファイヤー」が都市ゴミ焼却場向けで高いシェアを持つ。
しかし、法規制に伴う新規需要も一巡、現状はピーク時の01年に比べ4割減の状態で「テフロンのフィルターバグ向けは5~6年、我慢の状態が続く」見通し。その中でテファイヤーの特許切れ(02年5月)により他社品との競合も予想される。
このため、廉価版(従来品より10~15%安)として、細デシテックスのガラス繊維と混綿した「テファイヤーHG」も開発。これを武器に、フィルターバグ取り替え需要の取りこぼしを防ぐ戦略を組む。
一方、摩擦係数が低く、滑りやすい特徴を生かした摺動材はテフロン、トヨフロンとも自動車部品向けを中心に堅実に伸びていることから今後とも強化拡大を図る。