インターテキスタイル上海/ジャパンクオリティーの本領発揮
2004年10月20日 (水曜日)
高級差別化品の需要増加で
中国最大級の国際的衣料用テキスタイル展である「インターテキスタイル上海―アパレルファブリック」展が26日から29日まで、上海市内浦東の上海新国際博覧センターで開かれる。
ジャパンパビリオンによる出展は今回で3回目となり、地に足の着いた商談が期待される。高度化する中国の国内市場に加え、来年のクオータフリーを踏まえて欧米市場向けに高級差別化テキスタイルの需要は明らかに高まっている。今回はこれまで以上に、品質や企画力などジャパンクオリティーの本領を発揮する好機と言える。
ジャパンパビリオン出展の以前から同展などに参加して中国市場の開拓に努めてきた企業も少なくなく、出展方式や現地エージェントの活用など、様々な面で個々の特徴が見られるようになってきた。
主要業界ごとに以下、出展の特徴や主力商品などをまとめた。
商社/新たなビジネス構築へ
今回のインターテキスタイル上海には、ジャパンパビリオンの内外を通して、多くの日本商社が参加する。これまでは中国の安価で優秀な労働力を活用して縫製した服装を日本へ持ち返ることが商社の中国ビジネスの中心だった。しかし今、中国を“市場”と位置づけて日本製のテキスタイルを輸出したり、中国で縫製した服装を欧米へ供給したりするなど新しいビジネスの構築を目指している。その一端を紹介する。
伊藤忠商事は繊維原料、テキスタイル・製品、ファッションアパレルの3事業部が合同で出展する。繊維事業部は備後(デニム)、泉州(綿織物)、和歌山(綿、化合繊ニット)、尾州(先染め毛織物、合繊織物)、桐生・栃尾・米沢(化合繊長繊維織物)など日本のテキスタイル産地で生産する高級品を提案する。
トーメンは、婦人アウター、スポーツ素材の商品をそれぞれ最小ブース(9平方メートル)で出展する。テキスタイルの中国内販に取り組みながら6回目の参加を迎えて、知名度向上など宣伝色を強める段階はもう過ぎたと判断した。出展商品は婦人アウター用が独自開発素材群「東京ベイファッション」の対中輸出版。スポーツ素材は透湿防水機能素材「ゼラノッツ」。
田村駒は展示する各サンプルの価格を初めてあらかじめ表示する。関心を寄せてもらうだけにとどまらずに、実際の取引に結び付けるため、出展商品は現物対応に近い取引が可能なモノだけに絞る。
春の北京展が初出展だったNI帝人商事は2回目の上海を機に、自社開発の透湿防水機能素材「リッチテック」をブランドとして意識してもらえるような販売を目指す。日本側と上海、タイ各現法が出展する中で、同部が欧米向け輸出でも一つの切り口としている独自品をオンリーワンコーナーとして設ける。
北京と上海を合わせて4回目の出展となる丸紅はこれまで開放的な造りにしていたブースを、通路とは壁で仕切られた部分が大きい構造に変える。対中輸出担当者が毎月出張を重ねて、小口ながら徐々に実績を積み上げつつあり、競争相手や複製狙いの来場者ではなく、本当の潜在顧客に対応するため的を絞る。
東レインターナショナルは北京展に続き、インターテキスタイル上海展でも引き続き、クローズド方式で参加する。3月の北京展では、ブース面積は48平方メートルだったが、上海展では50平方メートル強に広げる。ブースでは東レのほか光繊維、宮田毛織、田中忠、一村産業、山信織物、松岡織物の商品を打ち出す。今回は新たにバーコードによる管理方式を採用、来場バイヤーの名刺やサンプル要求などの整理業務の効率化を図る。この新方式の導入も、話題を呼びそうだ。
化合繊業界/世界最高水準の素材を披露
日本の化合繊業界からの出展は合繊メーカー8社が顔をそろえ、有力な長繊維染色加工会社も複数参加する。
東レはグローバル・プレステージブランドとして“TOREX―東麗特絲”を世界市場で展開。今回は人工皮革「エクセーヌ」、防水・透湿機能を持つ「エントラント」、吸汗・速乾機能を持つ「フィールドセンサー」など“TOREX”ブランドの商品ラインアップを紹介するとともに、高感度なシルキー素材や膨らみ感のある梳毛調の素材を展示する。
三菱レイヨン・テキスタイルは、トリアセテート「ソアロン」、ジアセテート「リンダ」、ポリエステル長繊維「ソルーナ」、そしてアクリル繊維を基布に使った人工皮革「グローレ」を出展する。
クラレは、人工皮革「アマレッタ」、エチレンビニールアルコール繊維「ソフィスタ」、ポリエステル多孔中空繊維「エアーミント」、ポリエステル十字断面繊維「スペースマスター」、ポリエステル繊維に炭素を練り込んだ「クラカーボ」などを展示する。「アマレッタ」は別にして、他はすべて機能性素材である。
旭化成せんいも主力商品をフルラインアップして展示する。キュプラ繊維「ベンベルグ」、様々な機能を付加したスパンデックス「ロイカ」、スエード調の人工皮革「ラムース」、吸汗・速乾機能に優れたポリエステル素材「テクノファイン」などが主要展示品である。
ユニチカファイバーとユニチカサカイは、ポリエステル繊維とナイロン繊維の機能性素材を出展し、その品質の高さをアピールする。
帝人ファイバーは、出展商品を「トリクシオン」とナノテクを活用した「モルフォテックス」に絞り込んだ。「トリクシオン」では、しわがつかず、仕立て映えのするビジネスマンの出張用スーツとしての用途を宣伝する。
カネボウ合繊はマイクロファイバー使いの「ベリーマX」シリーズに集中する。富裕層が増え、消費者の高級志向が高まる中国で新しい顧客開拓に挑む。
東洋紡グループでは、アクリル繊維子会社の日本エクスラン工業が社名とブランドのPR、新規顧客開拓を目的に出展する。主な展示商品は遠赤外線放射アクリル繊維「セラム」、吸湿発熱アクリレート系繊維「エクス」。
なお、染色加工会社の小松精練は、ボリュームある風合いとナチュラルな外観を持つ「ビンテージ繊意」や超薄膜コーティングを施した「サイレント・コーティング」などを出展する。
紡績/日本品質を前面に販売本格化
紡績は中国市場への素材販売を本格化させている。今年度の各社の取り組みを見ても日本毛織が日毛(上海)貿易を稼働させ、シキボウも現地法人設立に向けて動いている。また、富士紡も香港の子会社が上海に事務所を設置、中国での対応力を高めた。早くから芯地の販売に取り組んできた日東紡もコアヤーン「C・S・Y」の本格販売に乗り出した。
中国販売の本格化を示すように、紡績のインターテキスタイル上海展への出展企業数も増加傾向にある。シキボウ、富士紡が初めて出展するほか、日本毛織、日東紡も引き続き出展する。
日本毛織は日本製生地をメーンに出品。4月に設立した日毛(上海)貿易有限公司の機能を合わせてアピールする。
今回は15ブランドを出展。メンズは、竹を練り込んだレーヨンとウールを組み合わせた「バンブール」、ストレッチ性を持つ「アロストレッチ」、「テクノツイン」などを出品する。また、レディースは風合いや色柄に特徴を持つ商品が中心。「MAF」「オーディン」といった素材を出品する。デザインは日本で人気のある1900年代前半のビンテージを現代風にアレンジした素材などが特徴。
日東紡はポリウレタン弾性糸を芯にした二重構造糸「C・S・Y」を使った様々な種類の生地を出展する。用途はレディースをはじめ、全アイテム。織物では、毛羽の少ないきれいな外観が特徴の「パーフェクトC・S・Y」、コンピュータ制御スラブ糸「ハイパーマルチスラブC・S・Y」、極細タイプのモダールのC・S・Yを使った肌触りの優しいタイプ「マイクロモダールC・S・Y」、リヨセルのC・S・Yを使った柔らかな風合いを持つ「リヨセルC・S・Y」などを出品する。
シキボウは今回が初めての出展。同社は中国市場への取り組みを積極化しており、「中国にある事務所や代理店などの情報を得ながら出展を増やしていきたい」考え。
出展商品は、特徴的なシャツ素材を中心とする。独自の織り組織“校倉作り構造”で清涼感を出した「アゼック」、繊維長が長く揮発性に優れたエジプト綿を使用した「ゴールド・ナイル」、室内外を問わず早く乾く「早乾」など。また、洗濯乾燥時のシワが出にくい「テクノス・ケア」、撥水剤を繊維に特殊結合させることで高レベルの耐久性を実現した「テクノス・ガード」などを出す。
フジボウは“美しさ”を視点に開発した機能素材を多数出品する。中国内販や欧米市場向け生産拠点にアピールするのが狙い。
出展商品は“着るビタミン”の売り文句で人気の「V―UP」。体内に吸収されるとビタミンCに変わる“プロビタミン”を表面加工した素材で、加工処方は洗濯では落ちにくいが、汗には徐々に溶けていくという手法を用いている。今回はビタミンCにビタミンEを加えた「V―UP/C+E」も出展する。このほか、汗ジミを目立たなくさせる加工「ディスノーティス」、天然保湿成分のスクワランを加工した「ケアトリートメンツ」などを打ち出す。
服地商社/製販体制の整備進む
服地商社は中国市場への販売を本格化させており、各社が中国での製造・販売体制の整備を加速させている。日本で培った企画開発や細かなフォロー体制などを強みに可能性の広がる中国市場に挑む。
サンウェルは「サンウェル」「SUNFONTE」「三維爾」の3ブランドを出品する。用途は衣料と資材。3ブランドで合計1000品番・1万色と品揃えが豊富だ。
澤村の出展商品はインナーやスポーツ向けの機能素材、レース、インナー向け丸編み素材の3分野で構成する。
コッカも昨年に引き続いての出展。昨年の上海展については「販路開拓・知名度向上に成果があった」としており、今回も同様の成果を狙う。出展品は日本でも好評を得ているプリント生地をメーンとする。
パレモは今回が3回目の出展。中国内販売については「少しずつ商売ができてきた」という。「上海以外の地域を含め、できる限り多くの展示会に出展したい」と中国販売に意欲をみせる。今回展ではウール、綿強撚、合繊の撚糸のジャカード・ボーダー生地などを出品する。
レナウンジャーヂは2回目の出展。「今回の展示会で中国向けの方針を最終決定する」計画だ。出展品は丸編み生地「アズイズ」。素材バリエーションは綿、毛、合繊、その他複合と幅広く、1反から販売する。
瀧定大阪は中国内販売と再輸出用素材の販売を目的に継続して出展しており、今回で3回目の出展。婦人、メンズ、子供服用のアウター素材、ドレス素材、スーツ素材、パンツ用素材を幅広く出品する。
QTEC/上海センターなど順調
日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は96年、上海にSIC―QTEC品質評価センターを設立した。開設の背景についてQTECでは「国内製造業の空洞化と、これに伴い高まった国内工場の中国移転への顧客ニーズがある」と説明している。現地での検査依頼は当初から倍増ペースで推移、今でも順調な推移をみせている。
その後01年には青島に、また03年6月にも無錫に試験センターをそれぞれ開設、両センターとも着実な推移をみせている。検査対象の95%以上がアパレル製品だが、無錫では羽毛検査もスタートさせている。
カケン/8月に無錫試験室開設
カケン(日本化学繊維検査協会)は、中国第6番目の拠点として「無錫試験室」を8月に開設した。香港、上海、青島、大連、寧波に続くもの。江蘇出入境検験検疫局紡織工業産品検測中心と業務提携を行い、無錫出入境検験検疫局7階に設置した。
同試験室の開設にあたっては、日本国内の試験室との手合わせ試験、現地の試験スタッフの研修を繰り返して実施。日本向け繊維製品の染色堅牢度試験はもとより、物性、分析、製品検査などの試験ができる万全の体制を整えた。中国や日本国内のカケン各事業所とも密接に連携して、効率的なサービスを提供する。




