機能素材ファイル(207)帝人ファイバー「モルフォテックス」
2004年12月10日 (金曜日)
ナノテクによる光発色繊維
●素材……ナノテクノロジーを活用しモルフォ蝶の発色原理をナイロンとポリエステルの薄膜干渉理論に置き換えた、光干渉による染料や顔料を使わない発色繊維。微細化した有機系構造発色顔料「モルフォトーン」もある。
●特徴……屈折率の異なる2種類のポリマー(ポリエステルとナイロン)をナノオーダー単位で61層積み重ねた多層積層構造を持つ。積層の厚みを光学サイズ(ナノオーダー)でコントロールすることにより発色、基本色としては赤、緑、青、紫の4色がある。また光発色であるため、染料や顔料が不要で染色工程を経ないことによるエネルギー消費や産業廃棄物排出の削減効果も持つ。最近ではさらなる微小化と発色性の向上を新ポリマーの開発により実現、「2004NEDO成果展」にも出品した。
●用途……衣料やインテリア、副資材などで活用されている。衣料ではアウターのほかスポーツ向け、ウエディングドレスの素材としても使用。なお顔料の「モルフォトーン」は各種塗装に使用可能で、一般産業資材のほか化粧品などにも展開。
●ひとこと……04秋冬から用途が各段に増え、ゴルフウエアのほか、レディースを主体としたトップアパレルなどに拡大しています。「モルフォトーン」はカーパーツや時計の文字盤やつりざお、マニキュアなどに幅広く活用されています。色あせることがない発色と輝きが特長です。(能勢健吉モルフォ推進室長)