05年の話題を追う/検査機関・グローバル対応を深化

2005年01月05日 (水曜日)

需要増背景に質量とも拡充

 検査機関の海外での活動がより深化したものとなっている。中国を筆頭に海外での需要が、質量ともに一段と高まっていることに対応するものだ。

カケン/上海科懇がCSM2000

 日本化学繊維検査協会(カケン)の中国における主力拠点である上海科懇服装検修整(カコン)は04年11月、エコテック・ジャパンの協力を得て、総合監査管理システム「CSM2000」の認証を取得した。

 カコンはすでに品質面の責任について規定した標準規格「ISO9001」を取得している。今回、CSM2000を取得したことにより、品質だけでなく、環境、安全衛生・健康、社会的責任、経営システムの5項目について包括的に標準規格を満たしていることが、国際的に認証されたことになる。

 また、試験所認定制度「JNLA」の中国版である「CNAL」の認証に向けて現在、準備を進めている。日本企業の内販が本格化しつつある状況に対応、同認証を取得することで内販向けの検査も本格的に行える態勢を整える。05年中には取得できる見通しだ。

 さらにカケンは04年11月に、タイ・バンコクの日系試験検査機関「COPIT」と試験業務提携を行い、タイとその周辺国における日本向け繊維製品などの品質検査ができる体制も整えた。

 「COPIT」は1989年に設立され、日本向け繊維製品の試験業務を行っている。今回のカケンとの業務提携により、日本国内のカケン試験室との品質手合わせ試験などの技術交流、試験情報・技術の共有化などを進める。

 カケンはアセアン諸国ではインドネシアで98年、BVCPSインドネシアと業務提携している。今回タイにも提携先ができたことで、アセアンでのサービス網がより充実したことになる。

QTEC/上海に高温高湿室

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は「高温高湿室」を上海試験センターに、05年初めに設ける。通常の検査室で、検査に問題があるわけではない。これは湿度65%、20度Cの状態を保つ検査室で、クレーム商品の物性検査のように、非常に精密な検査が要求される試験を行うためのものだ。QTECは日本国内に何十カ所もの検査所があるが、同検査室を併設するのは東京、大阪、名古屋の3カ所だけだ。

 このほか、上海試験センターは05年に入ってから検査スペースを1フロア増やす。従来はビルの6階から8階までの3フロアだったのを、9階まで広げて4フロアに拡大するものだ。04年は下半期に入って多少鈍化したが、海外での検査需要は増加基調を続けた。青島品質評価センターも手狭になってきたため、スペースの拡大を検討している。

 QTECは検品会社や縫製工場に検品の指導を行っている。非常に好評で、依頼の要望はこのところ一段と増加している。しかし、指導するためには、熟練した日本人検査委員である必要があるため、人手不足から希望に対応しきれない状況だ。現在、指導している工場は25~26社。定期的に毎月巡回して指導する必要があるため、精力的に回っても対応できる企業数は限られる。しかも、月に2回の訪問を希望するところもある。また、年に1回は工場の水準チェックを行い、3年毎の審査も行う。当初は、「必要ないのだが、発注先の希望で指導を依頼に来た」という先でも、実際に指導を始めると、その効果を認めて評価してもらえるという。

 日本の市場が要求する品質基準は日々刻々と変化している。納入先の基準や考え方を常時聞いて、製品検査に反映させる必要がある。このため、中国に派遣する検査員は2カ月毎の出張ベースにし、常に日本の空気を吸って市場の要望を肌で感じていられる態勢で臨んでいる。

ボーケン/中国企業の検査依頼増加

 日本紡績検査協会(ボーケン)は昨年8月、台湾に駐在員を設置。業務提携していた現地の民間検査機関SGSの設備を活用し、品質試験などに対応できるようになった。ボーケンの海外拠点はこれで、4カ国・地域6拠点に拡大した(試験センターのある上海、江蘇省常州市、山東省青島市および日本人スタッフを常駐させている韓国と香港、そして台湾)。

 海外での検査依頼件数は年々増加。04年は前年比で20%以上伸びた。検査件数に占める海外比率は10%以上と高い。中村篤信専務理事は今後、海外の拠点を増やすことより「日本からの要求に対応していける体制を強化する」と語る。

 中国では国家輸出入商品検査検疫局(CIQ)と協定し、同局の高額な検査設備も活用できる。このため、アゾ系染料の有無など、幅広い検査が可能なことも大きな強みだ。また同局に対しJIS検査法の指導も行う。

 また、抗菌材料・製品産業協会および同協会が認定した抗菌試験を行う6機関ともボーケンは交流しており、JIS検査の指導を進める。同産業協会は、抗菌性能を証明する「CIAA」マークを発行している。

 最近は中国でも定番的な試験だけでなく、日本と同様に難度の高い検査の要請も多く、日系企業だけでなく、現地企業が検査を依頼するケースも増加。日本に直接問い合わせたり、検査依頼品を持ち込んだりするケースも出てきた。

 日本では“ナノテク”加工の流行などで機能性に関する検査が増えてきた。11月の展示会では衿シミの汚れ具合を評価する試験方法も提案。光触媒に関する評価を求める声も高まっているが、まだJISによる明確な基準ができていないため、各社対応の取り組みで検査に応じる。

 カシミヤとウールなど獣毛繊維でもDNAによる識別、鑑定法が進展。定性分析(原料の特定)はできるようになり、現在は定量分析(混率などの測定)の精度を上げるための研究を進めている。