ここまで来た繊維のナノテク(5)ユニチカグループ

2005年02月02日 (水曜日)

分子から設計する「Nano‐Tex」

 ユニチカグループは米国のナノテックス社から技術導入し、国内における技術ライセンスを取得した。ナノテックス社は繊維にナノテクを適用する技術開発を行う会社。米国では、GAP、ナイキなどの大手ブランドがこの技術を使った商品を展開する。

 同技術の特徴は、自然界に存在しない分子を分子設計により組み立てることだ。撥水・撥油加工である「Nano‐Pel」技術では水と油の両方をはじき、繊維に結合しやすい構造を持った分子を作った。大量生産可能な水系加工で繊維自体に化学結合させ、撥水・撥油性機能を持った分子は繊維の表面に均一にコーティングされる。

 化学結合されているため洗濯などにより機能が損なわれない。綿、毛、絹などの天然繊維、ポリエステル、ナイロンなどの合成繊維とあらゆる生地に応用できるうえ、水系加工のため既存設備を使える。

 分子から組み立てるボトムアップ技術は物質の改善を実現できる魅力ある技術だが、コストがかかるという課題もある。「数年後には、温度調節すると勝手に分子が繊維状に並ぶ現象を制御する技術も実用化できるかもしれない」(丸山尚夫ユニチカファイバー生産開発部グループ長)とナノテクノロジーの発展に期待を示す。

 ユニチカは、「Nano‐Tex」の商標でスポーツアパレル、コート、パンツなどの衣料用素材の開発、販売を行っている。現在は撥水・撥油加工、親水速乾加工、風合い加工、形態安定・防汚加工などの4つの技術を導入している。今後、消臭、静電気防止などの新たな技術も導入し、商品用途も広げていく。