帝人ファイバー/カネボウ合繊から譲渡事業
2005年03月03日 (木曜日)
不織布で3年後18億円へ
帝人ファイバーの岡田豊取締役ファイバー事業部長、籔谷典弘短繊維販売グループ長は2日会見し、1日付でカネボウ合繊から譲渡された新規市場開発事業について、3年後の08年度に売上高18億円、営業利益2億円を目指す考えを明らかにした。岡田取締役は「当社にとって不織布による製品事業は初めて。不織布用ポリエステル短繊維販売にも良い刺激になる」と述べ、不織布関連事業への相乗効果に期待を示した。
譲渡事業は不織布構造体・マットレスなどの「ファイバークッション」、車両用吸音材「セパトーン」、住宅用断熱材「パーフェクトバリア」のほか、英国のTAL(テクニカル・アブソーベンツ・リミテッド)から輸入販売する高吸水・高吸湿繊維使い製品「ベルオアシス」「ベルサニー」。
譲渡に伴い、短繊維販売グループ内に製品チームを新設した。同チームはカネボウ合繊から転籍となった営業・研究開発担当者6人を加えた10人体制(大阪6人、東京4人)。
05年度売上高は12億円(ファイバークッション30%、セパトーン25%、パーフェクトバリア10%、ベルオアシス・ベルサニー35%)が目標。カネボウ合繊時代(04年度19億円)より減るものの「中味を厳選したほか、人員・開発経費の効率化、委託生産化によるコスト削減などで、初年度から黒字化を目指す」(籔谷グループ長)。
また、カネボウ合繊の防府工場にあったファイバークッション用不織布設備は、生産委託先の田島商店(山口県防府市)に移設。6月から生産を開始する。12月には高圧セッターを新設し、生産能力を倍増とするうえ、耐熱原綿が使用できるため、商業洗濯対応商品も可能とするなど、機能原綿による商品開発も強化する。
設備投資額は移設費用などを含め2億5000万円。製造担当者(26人)は全員田島商店に転籍した。
ポリエステル短繊維換算で、05年度800トン、08年度1200トンを計画するが、ポリエステル短繊維供給先はカネボウ合繊時代のユニチカファイバー、大島産業(福井市)が基本的に継続。「当社で対応できるものは話し合いながら切り替える」(籔谷グループ長)意向だ。
「ベルオアシス・ベルサニー」原綿販売も予定
譲渡事業で最も注目されるベルオアシス・ベルサニーでは、不織布メーカーと連携強化しながら、特定用途は原綿販売も実施することを明らかにした。
カネボウ合繊は製品展開を原則としていたが、これが解禁される。籔谷グループ長は「自社だけでは開発に限界がある。顧客である不織布メーカーの知恵を借りて市場を広げていきたい」とし、TALも了解済みという。
同時に、日本で使用されていないが、欧米市場で実績のある食品包材、衛生材料向けに、同原料によるエアレイド不織布開発も強化する。同不織布設備を持つ金星製紙(高知市)、王子キノクロス(静岡県富士市)との共同開発を推進。2社に生産委託し、帝人ファイバーが不織布原反販売する計画も示した。