日本の繊維産業とアジア2・検査機関編/グローバル化で存在感増す

2005年03月29日 (火曜日)

世界へ販路を広げる

 中国にある日本の主要検査機関への依頼は、今年も引き続き増加している。「中国への生産拠点の移転もほぼ一巡。今後はこれまでほど増えないだろう」という声も聞かれる。しかし、当面はまだ能力の増強、さらに検査水準の維持強化などに追われる日々が続くと予想される。また、日本化学繊維検査協会(カケン)のようにベトナムにも進出、中国から韓国、台湾、タイ、インドネシアと、日本向けの主要生産拠点を網羅する検査体制を整える動きもある。いずれも大半が日本向けで、欧米や現地販売用の検査はまだほとんどない。

ホーチミンにも進出/グローバルな検査体制に

 日本化学繊維検査協会(カケン)への中国での検査依頼は、今年も増加基調を続けている。青島試験室と大連試験室は20~30%増加、上海科懇服装検験修整も10%強の増加だ。一昨年にスタートした寧波試験室は分母が小さいこともあって、伸び率はさらに大きい。需要増に応えるため、青島試験室は4月から、駐在員を一人増やして5人にする。

 カケンはまた、海外諸団体等の指定(認定)検査機関として、国際的にも評価されており、海外との技術交流や技術協力を積極的に行っている。カケンは、生産がグローバル化していることに対応、中国に拠点を置いているほか、タイやインドネシア、韓国、台湾に提携機関がある。中国には香港検査所、上海科懇服装検験修整、無錫試験室、寧波試験室、大連試験室、青島試験室の6拠点。

 韓国では韓国繊維技術研究所(KOTITI)、インドネシアはBVCPS、台湾ではBVCPS〈HK〉台湾、タイではCOPITとの業務提携だ。その拠点は国内外20カ所にわたり、幅広いネットワークで顧客の要望に応えている。

 「どこで検査しても同じ水準で行えるように、常に努力し続けている」と石塚琢夫専務。また、短納期対応が恒常化しているため、「品質・内容が高水準なのは当然。納期を最も重視している」と強調する。

 さらに、KOTITIと連携して、ベトナム・ホーチミン市に進出する。現在、5月の業務開始を目指して準備中だ。日本の検査機関でベトナムに進出するのはカケンが初めて。KOTITIがベトナムに「KOTITI・ベトナム・リミテッド」を設立するのに協力、日本向けの試験・検査業務をカケンが行う。所在地はホーチミン市内のソンタン産業団地内。敷地面積は1800平方メートル。現在、建屋を建築中である。

拠点の充実に力注ぐ/検査依頼は今年も増加

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は上海、青島、無錫の3拠点の充実に力を入れていく方針だ。日本の要求する品質レベルは年々高まっているとして、(1)安定性の維持強化(2)ローカルスタッフのレベルアップ(3)人員の増強――を目標に掲げる。

 QTECへの検査依頼は今年も増加し続けている。上海にある「SIC―QTEC品質評価センター」はすでに日本人スタッフ10人(交替を入れると20人体制)とローカルスタッフ60人で対応しているが、需要増に応えるために一段の充実が必要な状況だ。上海試験センターは今年、検査スペースを1フロア増やす。従来はビルの6階から8階までの3フロアだったのを、9階まで広げて4フロアに拡大するものだ。

 また、上海の品質評価センターには日本と同じレベルの検査を行えるようにするため、「恒温恒湿室」を設ける。これは湿度65%、20℃の状態を保つ検査室で、クレーム商品の物性検査のように、非常に精密な検査が要求される試験を行うためのものだ。

「 CCIC―QTEC青島試験センター」も需要増に応えるため拡張を計画しているし、「WIC―QTEC無錫試験センター」も立ち上げて日が浅いが堅実に実績を伸ばしている。

日本市場が要求する品質基準は常に変化している。納入先の基準や考え方を常時聞いて、製品検査に反映させる必要がある。このため、中国に派遣する検査員は2カ月毎の出張ベースにし、常に日本の空気を吸って市場の要望を肌で感じていられる態勢で臨んでいる。

 また、QTECは検品会社や縫製工場に検品の指導を行っている。これが好評で、依頼の要望は一段と増加している。もっとも、指導するためには、熟練した日本人検査委員である必要があるため、人手不足から希望に対応しきれない状況だ。現在、指導している工場は25~26社。