クラレ/ベクトラン事業買収
2005年04月08日 (金曜日)
クラレは7日、ポリアリレート繊維「ベクトラン」の欧米向け販売窓口である米セラニーズ・アドバンスド・マテリアルズ(CAMI)のベクトラン事業を買収すると発表した。買収額は数億円。1日に契約を済ませており、今月中に買収完了する予定だ。
CAMIは北中南米、欧州向けにベクトランの開発販売を行うほか、PBI(ポリベンズイミダゾール)繊維事業も行う。買収するのはベクトラン事業のみで、同事業の04年売上高は約600万米ドル。サウスカロライナ州フォートミルにあるオフィス、倉庫、試験機、評価設備を有し、従業員数は7人。買収後はクラレの米国現地法人、クラレ・アメリカ(KAI、ニューヨーク市)の新規事業部として運営し、従業員もKAIに移る。
ベクトランは販売量の6割は輸出で、その大半はCAMIが担っていた。とくに、NASAの火星探査機の特殊エアバッグに採用したことで有名。買収後は日米一元運営により、ニーズをとらえた商品開発を加速。中期的な事業拡大を目指す。
ベクトランは高強力が特徴のパラ系アラミド繊維などと同じスーパー繊維の一つ。90年に生産を開始した。パラ系アラミド繊維に比べると価格は2~3割高、単糸も5・6デ シ テックスと太いなどの弱点もあり、非吸湿性という特徴を生かした魚網、水産ロープなどを主力に展開してきた。
ただ、現在、クラレ西条(愛媛県西条市)に置く年産400トンの生産設備はフル生産中であり、05年春には500トンへの能力増も決定している。