東レ/炭素繊維、国内でも増設

2005年04月13日 (水曜日)

2010年 世界シェア4割へ/「歴史的」拡大期踏まえ投資

 東レは12日、PAN系炭素繊維「トレカ」の国内での生産設備を増強すると発表した。愛媛工場に炭素繊維原糸(プリカーサ)の重合・製糸、焼成までの一貫生産ライン2系列(年産2200トン)と、樹脂含浸シート(プリプレグ)生産設備1系列(同580万平方メートル)を増設する。総投資額は250億円。07年1月から稼働予定。

 今回の増産は、08年に就航を予定する米国ボーイング社の新型旅客機B787向けトレカ複合材料の供給をはじめ、一般産業用を含めた需要拡大に対応するのが狙い。東レはB787向けトレカプリプレグを供給する唯一の認定サプライヤー。東レは06年から、米国でプリプレグの本格供給を始めるが、日米2拠点からの供給を確立することで、体制を磐石にする。

 航空機分野ではジュラルミンに代わって、炭素繊維によるコンポジット化が急速に進み、歴史的な需要拡大局面にある。さらに圧力容器や風車のブレード、自動車部材、土木・建築分野など幅広い用途で需要が拡大している。この結果、04年には約2万2000トンと推定されたPAN系炭素繊維の世界需要は、07年には3万トンを上回ると予測している。

 東レはトレカ複合材料を先端材料の中核商品に位置づけ、戦略的に事業の拡大を進めている。今回の増産を含め、04年から07年までに総額500億円を投資する。今回の増設はフランス、米国に次ぐ第3期増設で、グループの炭素繊維生産能力は07年には年産1万3100トン、プリプレグは同2220万平方メートルに拡大する。

 東レは炭素繊維・中間基材・コンポジットまでの総合技術力の強化と垂直統合型事業の拡充により、10年には世界シェア約40%、売上高1100億円強を目指している。