三菱レイヨン・ダイヤテキスタイル長繊維事業の補完役
1999年07月21日 (水曜日)
合繊メーカーのチョップテキスタイル事業見直しの動きが加速しているが三菱レイヨンは「これからもテキスタイルは長繊維事業の中心」(伊藤靖彦長繊維事業部長)と位置付ける。しかし流通段階など環境の変化は激しい。そこで本体のテキスタイル事業を補完する役割を担って、四月から新たに発足したのが「ダイヤテキスタイル」(本社・大阪市、南方利裕社長)である。
ダイヤテキスタイルは、八八年に設立されたダイヤサンテックス(三菱レ七一%出資)が、その全額出資子会社ダイヤエクシムを吸収し、社名を変更。輸内一体の製販コンバーターになった。年間売上高は国内・輸出ほぼ半々で約四十億円だが「中期的には百億円規模を展望している」(同)。
取り扱い商品はトリアセテート「ソアロン」など三菱レイヨン素材が軸になっており、用途は婦人アウターを中心。
三菱レ本体や糸売先の産地企業から生機を購入し、染めゴーダウンで販売する形態を柱に糸買い、染め品買いもある。販売先は、国内が問屋や商社、輸出は商社や専業者を経由して米国向けが多い。
商社や問屋に売るという〝横〟の流れでは、垂直型の流通経路短縮という流れに合致しないようにみえるが「既存のチャネルは大切にする。そのうえでヤング向けSPA(製造小売り)対応など新規チャネル開拓も視野に入れる」(南方社長)方針。東京営業部にはこのほど専任者を一人配置し、SPA数社と取り組みを始めた。
これからの重点課題は、染め品買いより生機買い、生機買いより糸買いと「生産への関与を強める」(同)。しかし自ら産元機能を持つわけではなく、本体と連携しながら、商社や産元の機能を活用して対応する。
このように当面は、サンテックス・エクシム時代のビジネスを踏まえ、それを大きくしていく姿勢だが、一方で有力生地問屋の相次ぐ行き詰まり、商社輸出部門の縮小などの動きが顕在化しており、売上高百億円の段階では、国内市場でアパレルへの直接販売など卸売り機能を強化してくる可能性も高い。