ニュー・テクノロジー/東レ オペロンテックス

2005年06月20日 (月曜日)

 東レとオペロンテックスは、プールの水に含まれる塩素によるスパンデックスの劣化を抑え、耐久性を両社従来品の1・5倍に高めた水着素材を開発した。

耐塩素性1.5倍強の水着新素材

 水着素材の伸縮性を担うスパンデックスは、ポリエステル糸あるいはナイロン糸とともに、水着生地の一部として編み込まれている。それは、生地重量のうち、通常15~20%を占めている。

 プールの水には各種細菌などの消毒用に塩素を使用している。スパンデックスは、この塩素によって酸化分解を起こし、分子の鎖が切れたり、ポリマー構造が変化したりするなどの脆化現象を起こす。このため水着のストレッチ機能が劣化する。水着はさらに、時間の経過とともに糸が切れたり、生地表面が白茶けたり、生地が薄くなったりする場合がある。このため、スパンデックスの塩素対策は大きな課題となっていた。

 東レの水着素材「ブルーオゥ」はこうしたスパンデックスの劣化に伴う問題を改善し、従来品に比べ生地で1・5倍以上の耐久性を持つ。

 それは、オペロンテックスが新開発した耐塩素性が高いスパンデックス「エクストラライフ・ライクラ」を使用するとともに、編み組織を工夫した。

 オペロンテックスは、プール水に含まれる塩素から受ける影響を最小限に抑える成分を含有した新しいポリマー技術を独自に確立し、耐久性の大幅向上に成功した。エクストラライフ・ライクラは、プール水に含まれる塩素に対する耐久性を、同社従来品比で1・5倍以上に、飛躍的に高めた。また、黄色ぶどう球菌など食中毒の原因となる細菌の繁殖を抑制する抗菌・制菌機能も、耐塩素剤の働きで併せ持つ。

 東レは、このエクストラライフ・ライクラを使用したブルーオゥの生地を高密度化した。スパンデックスを生地中層に配置し、水に触れ難くしたほか、肌との密着度が高いほどスパンデックスに無理な応力がかかるので、高密度にしながらもスムーズな伸縮性にする生地設計として、スパンデックスの劣化をできるだけ抑えた。

 東レによると、週3回1日2時間使用で3カ月着用できれば、塩素に強い耐久性水着。使用条件により違いはあるものの、ブルーオゥはこの1・5倍の耐久性がある。

 東レの特殊ポリエステル長繊維(細繊度、中空・異型断面)との交編素材で、生地値は従来品に対し約10%高い。初年度5000反、3年後2万反の販売計画。ミズノ「スピード」、デサント「アリーナ」の両ブランドの、06春夏新作水着向けに採用が決まっている。