東レ・アユタヤ工場訪問記(上)
2005年07月04日 (月曜日)
ナイロン66長繊維増設急ピッチ
タイ・トーレ・シンセティックス社(略称TTS)アユタヤ工場はバンコク市の北70キロに位置する。チャオプラヤ川岸のハイテク工業団地に立地する唯一の繊維素材工場として異彩を放つ。エアバッグ用ナイロン66長繊維の急増設を進める同工場を訪れた。〔アユタヤ(タイ)で安藤晃〕
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TTS社は03年、タイ東レグループの原糸・プラスチック関係3社を統合して生まれた。バンコク、アユタヤ、ナコンパトムの3工場から成る。そのうちの最新工場であるアユタヤ工場は旧トーレ・ファイバーズ・タイランド(略称TFL)。月産能力は衣料用ポリエステル長繊維2000トンと、産業用ナイロン66長繊維260トン。敷地面積24万5000平方メートルに従業員216人を擁する。
重合設備は、バッチ式2系列と固相重合塔1系列。紡糸設備は、ワンステッププロセスのP―2(DSD)タイプ18台、P―3(POY)タイプ4台、N66DSDタイプ3台を持つ。
バンコクからアユタヤへの高速道路は年々整備が進み、訪問者にストレスを感じさせない。車は1時間強で現地に到着した。
アユタヤ王朝時代の寺院が残る、歴史の豊かな土地柄だが、タイ政府はハイテク工場誘致を積極的に進めてきた。美しく区画されたハイテク工業団地には、電子機器メーカーが進出。繊維企業は東レのみだ。
宮石和彦取締役生産部門長兼アユタヤ工場長は、「(旧TFL)設立当初、ポリエステル製造の最新鋭ハイテクマシンを入れた」と繊維のハイテク性を強調する。タイでは、繊維は重要産業であり、“ローテク”“斜陽産業”ということでは決してない。
同工場では、衣料用ポリエステル繊維の高品質化をさらに進めるとともに、産業用で最もホットなアイテムの一つである自動車エアバッグ用のナイロン66長繊維の生産を昨年9月に始めた。しかもナイロン66長繊維の急激な増設計画を東レは明らかにしている。
アユタヤ工場では、入り口で自分に合うサイズの安全靴に履き替え、耳栓、ヘルメット着用で内部に入る。重合・紡糸工程に従って階上から階下へ見学していく。
1991年 4月 トーレ・ファイバーズ・タイランド(TFL)設立
1992年10月 操業開始
1993年11月 第1期建設完了(ポリエステル長繊維月産能力:1000トン)
1999年10月 第2期増設完了(ポリエステル長繊維月産能力:合計2000トンに)
2003年10月 タイ東レグループの原糸・プラスチック3社の統合でタイ・トーレ・シンセティックス(TTS)のアユタヤ工場に
2004年 9月 ナイロン66長繊維の量産スタート(月産能力:260トン