第2回・交流の夜明け/中国ユニフォーム博から

2005年07月12日 (火曜日)

ブランドで“面”の攻め

 ユニフォームの中国内販で先を走る商社。丸紅はこの展示会を前に新たな戦略に乗り出した。「中国で知名度の高いイトキンのブランド力によって“面”で攻める」。有武志機能アパレル部長は、日系アパレルの中国進出の先駆けであるイトキンとの提携に一つの活路を見いだす。

 中国全土で店舗展開する“伊都錦”(イトキンの中国語名)が中国内販の核とする3ブランドのうちの2つ、「a・v・v」「オフオン」、それに「ミッシェル・クラン」を加え、これらブランドを付けた制服を日本以上にブランド好きと言われる中国市場へアピールする。

 ユニフォームの内販は対外貿易権・国内卸売権を持つ上海百紅商業貿易を通じて03年秋に着手、上海の大手鉄鋼メーカーや日系高級百貨店に納入実績がある。ただ、ここまではあくまで別注の積み重ねであり、取引には人脈的要素も強い。いわば“点”だ。もちろん、この“点”は継続するものの、一方でブランド力を生かし広く“面”で攻略する。

 ホテルの各現場の従業員の制服からオフィスユニフォーム、百貨店の化粧品販売員など高級感あるものを求める分野を狙う。

 伊藤忠商事グループの縫製会社で主にワーキングウエアを扱う天津華達服装は約3年前に上海、04年7月に蘇州にそれぞれ自前の事務所を開設、日系企業が多数進出する華東地区での営業活動を強化してきた。東麗酒伊織染〈南通〉(TSD)や南通帝人の素材を主に使い日本基準の縫製技術・生産管理によって、色の再現性や耐電性能、耐久性の高さなどを実現、大小含め日系約200社の販売先を築いてきた。とくに顧客が多い地域は江蘇省。「今後もまだまだ進出が続く」(辻高由上海事務所長)とみて、内販の半分を占める市場を引き続き重点的に開拓する。

 ユニフォーム専門商社のチクマ(大阪市中央区)は、子会社の東洋リントフリーの保税区現法、天津東洋林徳国際貿易が無塵衣を並べ潜在顧客の反応を探った。「ユーザーの来場が少ないが、まずは情報収集」と話すのは三津田泰総経理。04年8月設立の同社は内販を始めたばかり。すでに北京、上海のNECの半導体工場で採用されており、値段が高くてもまず高機能が求められる分野に狙いを定める。とくにホコリの混入を厳しく抑える必要がある半導体の製造の前工程に使用される無塵衣、その他情報技術関連、製薬、食品などの工場作業服の需要を掘り起こす。

 内販の実績がまだない新興産業は手探りでの参加。親会社の東洋紡の吸湿発熱素材「エクス」使いのワーキングウエアで屋外作業用の需要があるかを探ったほか、サービスウエアを意識し「クールマックス」使いのシャツなどを展示した。「一番の狙い目は進出日系企業」(橋本英一ユニフォーム部ユニフォーム第一グループ課長)として、縫製合弁の昆山新新服装で生産した商品の現地販売へ道筋を付ける。会期初日の午前から頻繁に訪れた企業の中から「対象となる納入業者を整理してアプローチを始める」。