東洋紡 米国の防弾ベスト訴訟/責任認めずも和解

2005年07月14日 (木曜日)

 東洋紡は13日、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維「ザイロン」を用いた防弾ベストに関する米国の集団訴訟につき、原告団と和解契約を締結したことを明らかにした。今回和解に至ったのは、同国オクラホマ州メイエス郡地方裁判所に提訴されている集団訴訟。

 主な和解の内容は、(1)東洋紡は和解金2900万ドル(約33億円)を原告団に支払うとともに、原告団の弁護士費用940万ドル(約11億円)を支払う。さらに本件、関連訴訟に名前を出している原告に「報奨的賠償」として6万ドル(約680万円)を支払う(2)原告団は、東洋紡と東洋紡アメリカに対するその他の請求を放棄する(3)この和解に伴い請求の基礎が本件と同一である他裁判所などでの関連訴訟も棄却を申し立てる(4)東洋紡は原告団の主張する同社の責任を一切認めるものでない旨、和解契約に明記する。

 和解金など合計44億円は、06年3月期の中間期に特別損失として計上する。これによる今期の最終利益予想は変わらない。

 この訴訟は、ザイロン繊維を用いた防弾ベストの性能が不十分であるとして、同ベストのユーザーなどが、防弾ベストメーカーであるセカンドチャンス社とザイロン繊維のメーカーである東洋紡、同社の米国子会社である東洋紡アメリカを、損害賠償などで訴えていたもの。セ社は2004年10月、米国連邦破産法に基づく倒産手続き(チャプター11)を申請。訴訟はセ社との関係では自動的に停止され、東洋紡と東洋紡アメリカに対してのみ訴訟が続いていた。

 東洋紡は「ザイロン繊維は防弾ベストの一部分を構成する材料であり、今回のケースはセ社による防弾ベストの設計・製造・販売の問題」として、「ザイロン繊維の欠点によるものではない」と原告団と争ってきた。

しかし、倒産手続きに入ったセ社の支払能力に問題があり、同社を巻き込んだ和解も困難であること、訴訟継続によるコスト圧迫や陪審員制度下の巨額賠償評決のリスクが完全には消滅させられないこと――などから、東洋紡は裁判上の和解を選んだ。セ社との訴訟および負傷した警官との訴訟など一部の訴訟が残るが、東洋紡は相手方の主張の誤りを立証し、適切な防御を行っていくという。