企画から店頭まで最新ソフト一堂に

2005年08月24日 (水曜日)

海外への仕様書もデータで

 「05アパレルソリューションフェア」が23日、東京・品川の五反田TOCで開幕した。会期はきょう24日まで。主催は全日本婦人子供服工業組合連合会、アパレルソリューションフェア実行委員会。アパレルの企画から店頭展開まで、総合的な最新のソリューション提案が一堂にそろった。婦人服中心に市場が低迷し、企画が遅れがちな状況だけに、同ソルーションシステムへのニーズは一段と高いといえる。

24日までアパレルソリューションフェア

 東レACSは、4月にバージョンアップして発売した「クレアコンポ2005」をはじめ、来年春発売予定の3次元CAD「ネクサマジック」と「サイフォームマジック」を紹介した。

 3Dの活用といえば、着装シミュレーションが一般的だが、ネクサマジックは繰り返し入力を一括処理したり、配置状態を3Dで確認したりできるなど、パタンナーがツールとして活用できることを目指した。サイフォームマジックは、海外の縫製工場など他社と仕様書のデータ交換ができる。海外縫製が普及しているが、現状は印刷物を送ったり、そのイメージをメールで送付しているのが実情で、同システムは業界がこぞって開発に取り組んでいるホットなテーマである。

 富士通エフ・アイ・ピーとビッグバンは、物流EDIシステム「JAICS‐L」を出展した。荷札を統一し、送り状はEDI(電子データ交換)で代替することで、人的作業による送り状の作成を不要にした。これまでに三陽商会、川辺、エーネット、オーロラの4社が採用しており、さらに大手アパレル5社の採用が内定している。

 富士通はファッション業界向けASPサービス「コラボエージェント」ほかを紹介。同サービスは7月末現在、小売りはそごう、伊勢丹、丸井、阪急、大丸など17社、アパレルはオンワード樫山、三陽商会、サンエーインターナショナル、イトキン、ワールドなど108社が採用。今後は中小アパレルや地方小売店へ普及させていく計画だ。

 ユカアンドアルファは今回、アパレルCADでは袖の設計CAD「アルファi」などを紹介する一方、マップ作成を簡単に行える「ベリーマップ」を近く発売する。マップは手作業で作成するため、作成後の並べ替えなどに手間がかかるだけに、注目を集めそうだ。

 システム開発・販売の旭化成AGMSは今回、ソリューション事業の新製品と「AGMS生産部長」を出展。商品情報の登録で表地や副資材の発注から納品管理、QRに対応した仕掛工場や投入ラインの進捗管理を容易に行える。生産現場のニーズを反映した機能と簡易な操作性で、今年5月の国際アパレルマシンショーでも好評を得た。

 ソリューション製品では「縫製仕様書作成システム」「アパレルデータ管理システム「AGMS QB」をそろえる。CAD、CGではコンピュータグラフィックソフト「AGMS Pallete(パレット)」、デジタルプリントシステムと充実している。

導入進む新システム

 アべイルは生産・販売統合ソフトの新バージョン「経営改革AP」を出展。企画作業の軽減とシステム化、物流管理までの機能を充実、さらに店舗販売分析などの情報をリンクさせ、生産と販売の距離を縮める。中国シフトが進み、日本語・中国語の自動変換機能を加えた「経営改革21」も紹介している。

 伊勢丹データセンターは伊勢丹をはじめとするグループ各社のシステム開発・運用を行う。近年では、伊勢丹システムの開発・運用で培ったノウハウを生かして、グループ外の百貨店や流通業に向けたシステム開発・アウトソーシングサービスを展開する。

 今回紹介している「IQRS.net(イクルスドットネット)」は、WEB―EDI(電子データ交換)サービス。01年春にリリース、現在までに阪急百貨店や西武、そごうなど伊勢丹以外の12社に導入されている。「導入費用や運用管理費用がネックになっている企業は多い。当社は低価格に加え百貨店系グループとして豊富なノウハウを持っている。アパレル業界への普及、さらに地方の大手百貨店なに拡大していきたい」としている。

 島精機製作所は、デザインシステム「SDS ONE」に、新機能「カレイド」を実装した。企画段階のニットを、型紙によるバーチャル・モデルでシミュレーションできるのが特徴。実際に編む前に糸や生地、柄までを確認でき、原糸、工程とも大幅に短縮できる。カレイドはボーダーやチェック、アーガイルまで、複雑な模様をパソコン画面上で簡単に作ることができる。ニットサンプルの展示では、編機メーカーとして品質へのこだわりをうかがわせる。