連載・三菱レイヨン(下)ミッシー・ミセス需要は健在

1999年08月09日 (月曜日)

三菱レイヨンの繊維事業はミッシー・ミセスの婦人衣料向けのウエートが高い。東京部隊では、「強いアパレルと組み事業展開していく」(三菱レイヨン杉浦健之繊維マーケティング部長)方針だ。

「ミッシー・ミセスでの需要は厳然としてある」と杉浦部長はみる。不景気ではあるものの、シロガネーゼなどと呼称される富裕層は確実に増え、重層化しているからだ。

だが、「この需要もかつてのミッシー・ミセスにおける需要とは一線を画している」と杉浦部長は分析する。「団塊の世代は五十代を迎えるが、今の五十代は肉体的にも若く、親子で同一のブランドを着るという現象が起こっている。また四十五歳前後の女性はDCブランドで育った世代」だけに、その消費のありかたも自ずと変わってくる。「ヤングターゲットはビジネスにならない」と杉浦部長は断じる。結果的に需要にマッチすることはあっても、基本的にヤングマーケットの変化のスピードに合わせるには、テキスタイルビジネスのスピードではコストが合わないという。だが、情報源としてのヤングマーケットに対するアプローチは怠らない。常にヤングマーケットの情報収集を行い、ミッシー・ミセスの企画に生かす。

東京部隊にとってアパレルへの取り組みのほか小売り、とくにGMSとの取り組みは不可欠だ。

「大量発注のあるGMSとの取り引きは、合繊メーカーとしてまじめにやれば大きな商売」である。同社では海外PT(プロダクション・チーム)を含めたコスト競争力を背景にこれに当たる。東京の繊維製品部は、このための先鋭部隊だ。カットソーが主体のこの部隊は、「最終製品の売れ筋を念頭に置きつつ、企画から縫製までの垂直的なチームMDで、GMSとの商売に当たる」ほか、マーケティング部との連動で、小売の生の情報を得るという二次的効果も狙う。

「既存アパレルはGMSとの仕事から手を引きつつあり、GMSは供給先が少なくなっている」。素材メーカーの製品部に脚光が当りつつある。(つづく)