アクリル複合繊維を開発/三菱レイヨン

2005年10月19日 (水曜日)

 三菱レイヨンは06秋冬向けにアクリル複合繊維「コアブリッド」を開発した。一本の繊維が芯鞘構造で、芯と鞘それぞれに機能材料を複合することができる。これにより、機能の高性能化、耐久性向上、複合化が可能だ。販売は糸売りのみで、初年度500トン、2年目1000トンを目指す。

 小林浩一アクリル繊維事業部長は「大きな可能性を持つ素材。衣料用途から始め、他用途へと広げたい」と意欲を示した。コアブリッドは湿式アクリルとして同社が世界で初めて開発した紡糸技術とその技術で製造したアクリル複合繊維の総称。06秋冬向けには「コアブリッド プロパール」「コアブリッド エレキル」「コアブリッド ルーモ」「コアブリッド サーモキャッチ」を展開する。

 コアブリッドプロパールは鞘にアクリル、芯にアセテートを複合化した繊維。吸湿性と消臭能力を持ち、アクリルが断熱効果を発揮し保温性がある。また、特殊化学処理を施すことで、芯部をセルロース化や中空化することができる。コアブリッドエレキルは白色系導電微粒子を分散させた鞘部を抗ピルアクリルで覆うことで、耐久性などが向上している。白色系のため、発色性も維持できる。

 コアブリッドルーモは芯部に温度調節ポリマーを練り込み、鞘部に保温性に優れたアクリルを使うことで、外気温の変化による衣服内の急激な温度変化を防ぐ。コアブリッドサーモキャッチは芯部の白色系光吸収発熱微粒子を抗ピルアクリルで覆い、暖かさを追求した素材だ。太陽光や白熱灯などの光エネルギーを素早く熱に変換し、衣服内温度を上昇させる。微粒子の導電性を利用し、洗濯や着用による性能低下の少ない制電性を持つ。

 同社は20日まで「ボンネル総合展」をOAPタワー(大阪市北区)で開き、これらの新素材を紹介する。06秋冬に向け、コアブリッドのルーモとサーモキャッチを含めた、アクリル繊維でウォームビズ対応を訴求する。

 アクリルのウォームビズ対応新素材として、1デシテックスの抗ピル繊維「ピチカ」、0・7デシテックスの「フェーデ」、1デシテックスのセラミックス練り込み繊維「ロニセラ」、1・1デシテックスのコンジュゲート繊維「クリピー」をそろえた。