ハイテク繊維の世界 クラレケミカル/「クラクティブ」

1999年09月02日 (木曜日)

 活性炭素繊維は繊維以外のメーカーも数多い。活性炭大手で、クラレグループのクラレケミカルもその一つだ。八〇年から活性炭素繊維「クラクティブ」の生産販売を開始。当初は気相分野向けの原料売りが中心だったが、液相分野の主力である浄水器用カートリッジフィルターを手始めに加工品での展開が増えている。

 「クラクティブ」最大の特徴はフェノール繊維「カイノール」(群栄化学が生産し、日本カイノールが販売)を原料にしている点。高価格がネックの活性炭素繊維の中でも「カイノール」使いは一際高い。

 性能面では優れるものの、コスト高が足かせになっている面はいなめなず、群栄化学次第ではあるが、今後「クラクティブ」を拡大するには「カイノール」のコストダウンは欠かせないだろう。

 その「クラクティブ」は浄水器の需要が一巡し、カートリッジフィルターも荷動きが鈍化。気相分野も景気低迷もあって昨年度売り上げは横ばいにとどまった。今年度は「全用途に力を入れる」(鶴崎雅博機能商品部長)考えで、二〇~三〇%増収を狙う。

 液相分野では浄水器のほか、コンパクト化できるという活性炭素繊維の特徴を生かした浄水シャワーにも力を入れる。同時に営業、技術からなるプロジェクトチームを設置し、液相分野の底上げを図る考えだ。

 得意の気相分野は各ユーザーとの取り組みを強めながらクリーンルーム用ケミカルフィルター、溶剤回収装置、空調フィルター、キャビンフィルターなどを攻める。

 また、同社と日本カイノールの独自用途である電極材も電気自動車の開発が進む中で需要増に期待。素材開発に力を入れている。

 同社は中期計画において機能性商品の拡大を掲げており「クラクティブ」もその一つに位置付けられる。「活性炭素繊維は環境ビジネスの一つ」(同)であり、環境問題が重視される中で、その部材として今後、需要拡大の可能性は高い。(つづく)