日本の制服文化を広く発信/尾崎商事社長・尾崎眞一郎氏
2006年04月28日 (金曜日)
尾崎商事は創業150周年を3年前に迎え、同時に中国・上海で上海尾崎商事服装有限公司を立ち上げた。3年前から上海工場を稼働させ、昨年は中国現地の進学校に制服・体操服も納入した。また、昨年から本社機能を岡山駅前のリットシティビルに移し、この3年間で変革を推進してきた。尾崎眞一郎社長に現況と課題を聞いた。
新生「オザキ」変革を推進
――学生服業界の課題について、どのように見ていますか。
スクールウエア市場は生徒数の減少や買い控え、お下がりの増加などに加え、素材メーカーやアパレル企業の倒産・合併、流通・小売店の淘汰(とうた)など厳しい環境にあると認識しています。生産については以前にも増して小ロット多品種化しており、新入学時の納品は合格発表から販売までの短期集中型になっています。
価格につきましても学校提案における入札の増加に見られるように下落傾向にあり、業界内での課題は山積しています。しかし、こういった環境変化への対応こそが企業存続の条件であり、立ち止まるわけにはいきません。これからもお客様が驚くような価値を提供することが私どもの使命であると考えています。
――中国市場について どのように見ていますか。
昨年、私どもの「上海尾崎商事服装有限公司」は中国・上海市にある「進才中学校」に制服・体操服を納入いたしました。学校や生徒たちも日本の制服に大変満足していただいており、私どもは商品の品質やサービスだけではなく、日本の制服文化の浸透が今後展開できると改めて実感いたしました。これからもアジア全体を視野に入れた現地での販売活動を推進していきたいと考えています。
――尾崎商事の来期に向けた重点施策は。
昨年は本社機能を岡山に移転し、新生オザキを目指しました。取り組みとしては制服分野での着こなしセミナーの全国展開、スポーツ分野では国体でのPRや高校総体への支援活動、スポーツ専業を目指した取り組みなど。そして企業全体としましてはICタグの導入や、最近ではお客様への安心のご提供という観点からプライバシーマークも取得いたしました。
これらはすべてがリーディングカンパニーとしての責任であり、私どものチャレンジそのものが学生服業界の変革を宣言しているものです。従来の枠組みにはないチャレンジを来年度も継続し、品質、コスト、納期、サービスすべての面で業界標準を確立していきたいと考えています。
各部門の重点方針としましては、店頭分野はチャネル再編による販売ネットワークの構築と学生服の売り上げ拡大を目指します。学校分野は先生方との結び付きを深めて、制服以外の分野でもお手伝いができるよう事業開発をしていきます。またスポーツ分野では学校における商品ブランドの浸透とともに、着用シーンをより考慮した商品提案を実践していき、競技用ウエアについても力を入れていきたいと考えています。
そして、私どもは今まで以上に着る人に楽しさを提供する活動を推進し、生徒たちにさらなる感動を与えることのできる企業を目指し、新規事業など様々な展開を行っていきたいと思います。
――今年の入学商戦の結果はいかがでしたか。
モデルチェンジ商戦はここ数年でピークであった昨年より全体数が減少しています。これは統合や共学化など学校改編が一段落したことが影響していると思います。
そんななか、学校制服分野での獲得率は中学、高校とも昨年実績を堅持したととらえています。またスクール店頭分野は全国的に女子服や関連商品が売り上げを伸ばし、微増の見込みです。
スポーツウエア分野は前年実績を大きく上回る新規校を獲得しました。ブランド展開も好調で今後も継続して伸ばして行きたいと考えています。ただし、売り上げは既存校の買い控えなどが影響し、昨年並みとなりそうです。
また、関連会社につきましては各社とも昨年並みの予定で、オザキグループ全体の2006年7月期の見通しは、前年度より約5%程度の売り上げ増加になると思います。
プロフィール
(おざき・しんいちろう)1965年尾崎商事入社。75年取締役、83年専務、91年副社長、94年9月に社長就任。
新入社員に薦めるこの1冊/常に夢を持って
分かりやすくシンプルなことをモットーにしている尾崎さん。お薦めの一冊はジェームス・アレン著「原因と結果の法則」という本だ。この中での著者の主張は実にシンプルで「私たちの人生はある確かな法則に従って創られ、その法則を変えることは出来ない」というものだ。
尾崎さんは「常に夢を持ち続けることによって、素晴らしい『結果』が待っている」と期待する。