都築紡績/「シキボウ高知」買収
2006年06月15日 (木曜日)
小ロットなど相乗効果狙う
都築紡績はシキボウ高知の解散に伴い、同社より資産(土地、建屋、機械設備など)を譲り受けるとともに従業員を引き継ぎ、全額出資の新会社を設立する。新会社は「ツヅキボウ日高」(仮称)で、資本金1000万円。従業員数50~55人、月産600~700コリの体制で、7月1日から操業を開始する予定だ。
都築紡績はシキボウ高知の土地、建物、精紡機1万2000錘などすべての資産を譲り受ける。これによって同社は4工場体制で、紡績錘数17万錘強となる。また、従業員は「希望者はすべて再雇用する」(武内貞継社長)としている。
武内社長はこの狙いについて、「当社がこれまで弱かった部分を補うことができる」と話す。具体的にはシキボウ高知が持つ(1)多品種・小ロット生産体制(2)差別化素材の開発力(3)細番手糸やニット糸の生産が可能――などの点を活用し、相乗効果を狙う。
同社はこれまで中番手までを主体にしていたが、シキボウ高知では7~160番手が生産可能。また、コーマ綿糸、綿・麻・ウール、綿・モダール、綿・シルクなど幅広い品種を多品種・小ロット生産している。これまで混紡の高知工場で小ロット・多品種生産体制の構築を進めてきたが、綿糸の出雲工場は量産に向く生産体制。ツヅキボウ日高の設立で、綿糸でも小ロット・多品種生産体制が構築できることになる。
新体制では「出雲工場、高知工場、ツヅキボウ日高の各工場が得意分野に特化していき、相乗効果を発揮させる」と言う。資産譲受によって試紡能力も増強され、混紡の高知工場とツヅキボウ日高では商品開発と小ロット・多品種生産を加速させる。また、量産が得意な出雲工場では一段の生産性向上とコスト削減を図る。これらを進めていくことで、中量生産と小量生産の双方への対応を可能とし、全体の拡販につなげる考えだ。また、新たな分野での拡販も計画する。具体的にはこれまで展開が少なかったニット分野へ進出するほか、素材での差別化を狙うアパレルや生地商との取り組みを増やす。