染色加工特集/存在感発揮へ独自戦略

2006年07月07日 (金曜日)

 川中のキーインダストリーと言われる染色加工業界はここにきて転廃業が相次ぐなど、厳しい経営環境に立たされている。しかし、大手の生地コンバーターからは「素材の差別化には染色加工による味付けが欠かせない」という声が挙がる。こうした声をどうとらえ、どう生かすかが課題となる。中国品との差別化を図ることはすべての繊維企業に共通した課題。この点において染色加工業の果たすべき役割は、強まりこそすれ、弱まることはない。

コスト増要因、目白押し/転廃業で一部にタイト感も

 国内染工場の加工スペースは今年に入り、一部タイト感を強めている。これは加工数量が増大したためではなく、昨年、今年と倒産や廃業が相次いだことにより、加工スペースが縮小したことが要因だ。一部で極端な納期遅れも発生している。

 加えて原油価格の高騰が様々な局面で染工場に暗い影を落とす。すべてのコストが高止まり状態にあり、エネルギー多消費型産業である染色加工業に多大な影響を及ぼしている。

 最近では環境配慮の観点から、各種公害規制が施行され、工場排水、排ガス、悪臭防止などの面で新たな設備投資が必要となる。環境対策は企業の社会的責務とはいうものの、これに伴う経費の増大が個々の企業の業績に与える影響は少なくない。

差別化商品開発へ/短納期対応も重要に

 原油高への対応は「自助努力によるコスト削減」と「加工賃値上げ」に大別される。原油高の影響を最も受けるのはボイラー燃料だ。コスト削減の一環として重油から木くず、都市ガスなどへの転換が進められている。

 東海染工は国内3工場のうち2つの工場に木くずを燃料とするバイオマスボイラーを導入。フジボウテキスタイル和歌山工場は13年前から都市ガスを使用、日吉染業は3年前、大日本晒染は一昨年から都市ガスに移行した。大同マルタ、大和川染工所も都市ガスを燃料にしている。山陽染工はこのほど重油から都市ガスへの移行を決定し、近く設備を導入する。クラボウ徳島工場、日出染業でも重油から代替エネルギーへの転換を検討中だ。

 代替エネルギーへの転換には当然、設備投資費がかさむが、自らの意志で「やるか、やらないか」を決断できる。一方、「やりたいが、進まない」のが加工賃の値上げ。

 取引の大部分が受注賃加工である染色加工業は、その取引形態から加工賃が低く抑えられる傾向にある。急激な原油高から、工賃を是正する交渉が各所で繰り広げられているが、「交渉に応じてくれたのは全体の2割」(山陽染工)の声に代表されるように、遅々として進んでいないのが現実だ。「既存品での値上げは不可能に近い」(日出染業)というのが残念ながら実態だろう。それだけに新商品の開発で、全体価格を押し上げていく取り組みが求められる。

 ここ数年は国内消費の不振、輸出競争力の減退傾向を背景に加工数量は減少の一途をたどっている。消費については、一般景況の回復基調や昨年の厳冬による在庫減少などを背景に、今年は一部で作り込みのムードが高まったものの、全体回復にはほど遠い状況にある。輸出は途上国の急追などで今後も見通しは悪い。

 織り・編みから縫製までを中国で行う流れのなか、“中国では難しい”とされてきた染色加工の分野も、最近では中国シフトが加速してきている。

 国内染工場が生き残るには「国内でしかできないモノ作り」(東海染工)が必要となる。さらにコンバーターやアパレルからの極端な短納期要請も強まっている。常軌を逸したものは別として、これも中国や同業他社との差別化には重要な要素だ。

 染工場が国内で生き残っていくには、差別化商品の開発と短納期対応、この2つがポイントとなることは間違いない。染工場各社は存在感の発揮に向け、それぞれの戦略を打ち出す。