ひと/東レ専務繊維事業本部長に就いた・杉本征宏氏

2006年08月07日 (月曜日)

 6月28日付で専務繊維事業本部長に就任し、4年間駐在したインドネシアから日本へ帰国した。繊維業界の中で東レの存在感がインドネシア駐在前と比べて高くなっていることが印象深いという。それだけに供給責任と同時に、新商品開発への期待感も高まっており、強い責任感を感じている。

 東レは中期経常課題「IT―2010」の中で、繊維事業は基盤事業として位置づける。行動指針として示す「革新と創造の経営」を具体的な戦略・各論に落とし込み、「安定的な収益を確保する事業基盤の確立に全力で取り組む」と抱負を語る。

 日本の繊維業界は「苦境に対して打つ手を考え、実行できる業界だ」と指摘する。ミル消費の減少は日本だけでなく、インドネシアでも深刻だ。インドネシアは国内消費が増加しているが、海外からの二次製品輸入が全体の7割に達し、国内のミル消費につながっていない。ナイロン長繊維は4年間で4割減、ポリエステル長繊維は5年間で3割減となった。こうなると一民間企業の自助努力だけではいかんともしがたい。日本は繊産連など業界としてアクションを起こし、その基盤の上で企業が自助努力を続けていることに、両国の違いを痛感したという。

 「着眼大局、着手小局」が信条。「遅々として進む」といわれるインドネシアタイムと、容赦ない変革を迫られるグローバルビジネスの狭間で、リーダーシップを発揮するにはかなりの克己心と精励が必要だった、と推測される。そうした同国駐在中に、ドライバーショットの飛距離を30ヤー ド 伸ばし、同国の秘境を探検し、インドネシア語しか話さない現地人との20分の商談もこなしていたというから今後の手腕が期待される。

すぎもと・ゆきひろ

 1965年早大商・卒、東レ入社。97年6月ファイバー事業部門長兼テトロン長繊維事業部長、2000年6月取締役、02年6月在インドネシア国事業統括、06年6月専務繊維事業本部長に。64歳。