生まれ変わるワンポイントブランド(1)レナウン「フィラ」

2006年08月14日 (月曜日)

全盛期 知る世代に

 今年4月、伊藤忠商事はフィラ・ルクセンブルグ社と、日本における「FILA(フィラ)」ブランドのマスターライセンス権に関する独占契約を結んだ。レナウンはアパレルのサブライセンシーとなり、それまでのライセンサーだったカネボウから百貨店のインショップ、人材などの多くを引き継ぎつつ、今春から事業を開始した。発表会見には伊藤忠の岡藤正広専務繊維カンパニープレジデント、レナウンの岡康久社長の両首脳が出席、同ブランドへの強い意欲を見せつけた。

リニューアルで新鮮さ

 フィラは40代の人たちにとって懐かしいブランドだ。07春夏からは、独自のビジネスモデルによる商品開発を開始する。(1)テニス、ウエルネスライン「ベネッセレ」の明確なスタイル構築(2)店頭支援システムによるタイムリーな商品供給(3)月別MD強化とVMDの連動(4)イタリアのデザインチームと連動したスタイル提案型ショップの導入――を進める。

 90年代以降、ヒップホップとのつながりを強めてきたが、ビンテージの復刻ラインを除きそのテーストを排除した。70年代後半~80年代前半のフィラの全盛期を知る40代を中心ターゲットに改めて据え、テニスと新機軸のウエルネス市場を強化する。

 テニスのクラシコラインでは着心地、機能性と高感度なデザインを両立。ニットのテーラードジャケットや上質なポロシャツなどをそろえた。女性の自然、健康、ヨガなどへの意識が高まっていることから、フィットネス、ウエルネス系の「ベネッセレ」も強化する。

 店頭支援システムを導入し、タイムリーな商品投入、期中対応を進め、機会ロスを防止。月ごとにテーマを設ける月別MDと連動し、販売精度を高める。また、伊のデザインチームと連携した曲線美を追求した新デザインのスタイル提案型ショップの導入を進め、フィラの世界観をVMDで分かりやすく訴求する。

 ブランドを象徴するワンポイントは、3つのバリエーションを用意。1993年以前のデザインを現代的に復刻したビンテージラインは、73年に生まれた「バンブーロゴ」が目印。ほかには「リネアロゴ」と呼ばれる英文字のシンプルなものと、「ブロック」と呼ばれる“F”マークのロゴがある。

 全盛期を知る40代に向けての提案を強める新生フィラ。百貨店98店舗とスポーツ専門店などを販路に、初年度(07年度)の目標売上高100億円(小売価格)を、5年後に200億円に引き上げる計画だ。

 「ワンポイント」。一世を風靡(び)したブランドも時代の流れとともに、時には色あせる。このところ目立つワンポイントブランドのリニューアルの動きを報告する。