大連CIGF閉幕/バイヤー来場期待外れも、東北市場開拓に布石

2006年09月13日 (水曜日)

 第1回中国(大連)国際服装紡織品博覧会(CIGF2006)が12日に閉幕した。来場者は昨年を大きく上回ったものの、期待したバイヤーは出展前の予想ほど来場しなかった。展覧会というより、一般人も交えた博覧会的要素が濃かった。しかし、「国から国への要請を受け、どこにも負けないジャパン・パビリオンを作ったことは、今後の中国市場開拓にプラスに働く」(JAKET)と、出展者の意気は高い。      【大連12日=鈴木康弘、於保佑輔】

アパ産協/実商談は展示会後

 アパレル産業協会は出展各社の結果をまとめた。ボブは「PRのために参加」したが、「クレールデュラン」は紫のイメージで出品し、反応は良かったという。具体的商談は展示会後になる。ビズ・カンパニーの「ビットコ・ズッコイ」は、来場者の関心を引き、ブースを訪れる人も多かった。欧州、日本、中国など様々な素材を使い、大連市場にない洋服を提案した。同社は11月に上海市武康路に旗艦店を開く計画で、中国素材を使った新ブランド「ビットコ・ゴールド」を新たに発表する予定だ。

 テンタックは市場調査が目的。島田商事は知名度アップを目的に、事前に取引先に案内を出すなどで取り組んだ。貝ボタンなどに注目が集まったが、価格に抵抗もあったという。カンプラ工業は「日本とは異なり派手な商品が人気。興味は持ってもらった」と語る。ただ、「焦って展開はしない。ブランドイメージをじっくり確立したい」と、長期戦で中国市場に臨む考えだ。

 イトキンは今秋冬物の113点を出品。代理商になりたいという客が多かったと語る。サンエーインターナショナルは4ブランドを試験的に出したが、「&byP&D」の反応が一番良かった。カジュアル感と分かりやすさが市場にマッチしたとみられる。ユミ・カツラインターナショナルは「昨年より反応は良かった。13日夜にはホテルで66点のショーを行う。成都では11月に新ショップもオープン。中国との取り組みはますます強まる」と本格展開の動きだ。

JAKET/市場調査では成果

 日本ニット工業組合連合会輸出振興チーム(JAKET)は8社1団体で出展した。エイガールズは中国内販アパレルを中心に3日間で7社から着分依頼を得た。しかし、「プルミエなら1日で120社の着分依頼が来る。商談としては少ない」という感想だ。このため、スタッフは会場の中国アパレルブースを直接訪問してビジネスを広げようと試みた。

 旭編物は前半2日で4社からスワッチ依頼。ただ、バイヤーがどのような企業かわからず、対応は展示会後の課題となる。素材では原色やサテン系の光る素材が人気だった。C・A・P―TKFは「価格に抵抗感があった」と反応を分析。日本では10月に来春夏向け展示会を表参道で開くが、グループとして製品販売への意欲に変わらない。

 オオタニットは、台湾に続き2回目の海外出展。「工場の売り込みが多い」が、バイヤーはデザインや生地などに興味を持ち、自信を持ったという。ニュージーランドメリノ使いの防縮ウールをアピールした。「中国の現状が肌でわかり、出展して良かった」という感想だ。和興ニットは「今すぐ商談にはならないが、風合いへの評価が高かった」とし、最初としてはまずまずという印象だ。フロンティア・ヒグチは5社から具体的商談があった。

 島精機製作所は、東北3省へのPRと市場ニーズ調査を目的に、「SIG122SV」「SDS―ONE」を出品。「実用衣料としてセーターが必要な市場だが、ファッション性を取り入れることにはまだ可能性がある。防寒タイツも市場に適すると思った」と言う。

 新道繊維工業は、「サンプルがほしい、価格はいくらかという質問が多かった」と語り、具体的な商談を展示会後に進める。定番在庫対応の「S・I・C」と会社概要をアピールした。

輸出組合/目的意識を持つ客も

 大連世界博覧広場の2階テキスタイルゾーンに出展した日本繊維輸出組合と辰巳織布やひかり商事、宇仁繊維など関係8社は、位置的に利便性が良くなかったことで、来場者の少なさにやや不満が残る結果となった。

 ただ「明確な目的を持って訪れるバイヤーが多かった」(関係者)との声もあり、一般客の来場が多かった土日に比べ、3日目の月曜日にはバイヤーらしき来場者が目立つようになった。欧米ブランドと中国縫製工場の間を取り持つ米国バイヤーから「中国現地企業には使える生地がなかったが、ここには使えそうな生地がたくさんある」との声があり、商談をしていく姿も見られた。

 また、出展者同士が情報交換をして「連携を深めるきっかけができた」(別の関係者)との意見もあった。さらに単にブースで対応する“受け身”の姿勢でなく、他の現地企業のブースに出向き、新たな取り組み先を見つける能動的な展示会の活用を考える必要性を指摘する声も聞かれた。

現地日系/新商品で存在感

 現地から直接参加した日系企業も多数あった。大連YKKジッパーは連続出展している。今回は特殊引き手、高級ジッパー「エクセラ」、止水ジッパーなどを展示。年間30%の売り上げ増を達成するため、標準品ではなく新商品をアピールすることに注力した。中国北部でも競争が激しく、市場分析にも力を注いでいる。

 大連清川服装は大連で副資材の生産を行ってきたが、6月に内販権を持つ大連清海貿易を設立。スタッフ3人でのスタートだが、ゲルマニウム入り繊維「チオクリーン」、光触媒の「ソールドクター」などを健康関連製品も展示し、新会社をアピールした。

 刺しゅう機のタジマ工業の中国法人、田島機械〈中国〉は「TMLH―(2)912」「STNE―920」を実演高度な刺しゅうに来場者から思わぬ感嘆の声が漏れていた。

 JUKIは大連の代理店を通じて出展。大連周辺には1000社近くの縫製企業があり、1980年代から販売網を築いている。今回、自動化の新機種を紹介。「人手不足が深刻な縫製工場にとってはかなり助かるはず」と、今後の販売拡大に期待する。

 ほかにもサンウェルの燦日泉〈上海〉貿易や大連保税区三景服飾輔料、三菱商事などが出展した。

有力ブランドPR合戦/中欧米アパレル

 ファッションレベルが高いといわれる大連だけに、CIGFでは中国現地や海外ブランドが入り乱れてのPR合戦が繰り広げられた。

 日本ではシャツのOEM(相手先ブランドによる生産)で知られる魯泰紡織(山東省)は、昨年から独自ブランド「格蕾芬」のシャツの販売を開始した。1着300~400元(1元=約15円)が主流で、なかには1000元するものもある。縫製の特許を生かした高品質なシャツでブランド力を高める。

 オルドス集団(内モンゴル自治区)は、得意とするカシミヤ製品でロシア、韓国、モンゴル、日本への輸出を強めるためにも地理的に適した大連でのアピールを重要視。商談スペースを広く取り、製品を多数展示した。

 中国全土に400店舗を展開する米ブランド「ESPRIT(エスプリ)」は、大連市内だけで20店舗の直営店を経営。「(大連の)売上高は前年比で30%以上」と急成長を遂げ、東北での売上高が上位なだけにアピールに熱が入った。

 ほかにもヤンガーやべッケンなども参加。バイヤーでない一般の来場者が多かった同展示会への出展はある程度効果があったようだ。