ユニフォーム総合特集/レンタル・就業形態変化し商機拡大
2006年10月31日 (火曜日)
ユニフォームを期限付きで貸し出し、月ごとに費用を回収するレンタルユニフォームが、日本でも着実に定着してきている。ユーザーにとって、ユニフォームの一括購入資金が不要で、在庫管理の負担も軽減される。また、洗濯やメンテナンスのサービスがつくので、衛生面を一定にすることができる。就業形態の変化に伴い、医療白衣から食品工場、物販、オフィスウエアまで、レンタルを採用する職場が増えている。参入する企業も相次いでおり、競争は過熱化している。
今後の課題/一段の差別化必須
レンタルユニフォームを採用すると、制服を管理する手間が省け、職場の衛生面を均一化することが可能だ。また、パートタイマーの増加により、辞めた後に制服を回収できないという事態も防ぐことができる。提供する側も、契約期間中は供給が保証され、継続率が高い。
一方で、個人任せにしていたときと比べると、コストは増大する。契約期間中は制服のモデルチェンジが自由にできず、契約更新期が来ると、新たなユニフォームを採用せざるを得ないなどのデメリットもある。
今後もレンタルユニフォーム市場は拡大し、競争は激化していくとみられるが、そのなかで他社との差別化が求められる。
白洋舎は数年前からICチップを前面に打ち出す。膨大な情報量を記憶できるため、徹底した個別管理を可能にする。今後は商品や洗濯に加え、セキュリティー面からみた新しい付加価値を提案する。最近では、警備業や交通関係など、これまでになかった業種からの案件が寄せられているという。
また、ユーザーへのレンタルシステムの啓もう活動も欠かせない。例えば、環境面でもレンタルは大きな役割を果たす。制服を各家庭で排出すると、排出の量は膨大なものになる。アメリカでは環境の負荷を軽減するために、ユニフォームは企業が責任をもって、専門の業者に委託することが法律で決められている。
競争激化/ユーザーの意識変わる
81年から事業を始めたダスキンは、全国186拠点で対応し、05年度の売上高は44億円の見通し。主力の掃除用品レンタル顧客に対してのユニフォーム提案を強化し、スケールメリットを生かす考えだ。
アラマークユニフォームサービスジャパンは、88年にアメリカのアラマーク社と三井物産などが出資して設立された。「ユニフォームレンタルのサービスを提供する」という理念の下、売り上げを伸ばし、06年3月期売上高は約54億円になった。
また、最近は情報管理の立場から支給する側の制服の管理が問われてきたため、別注を手掛ける企業でもレンタルを活用した提案が増えている。
丸紅の子会社で別注とレンタルを手がける丸紅メイトは、現在の売上高36億円から5年後に100億円を目指す考えだ、内訳はレンタルと販売が6対4になる見込み。今後は営業マンの増員を図るとともに、販売体制をレンタル、販売のそれぞれに専任者を置いて、売り上げの拡大を図る。 伊藤忠商事も、今後はレンタル市場が拡大するとみて、子会社のユニコと連携しながら、レンタルやリースなど、納品後のフォロー体制を充実させる。
イストは99年から飲食、パーラー、オフィスウエアなどの分野でレンタルをスタートさせた。今後はオフィス業務のアウトソーシング化やセキュリティー意識の高まりから、オフィスウエアでの需要が伸びるとみる。
商況/市場規模拡大続く
民間の調査によると、現在のレンタルユニフォームの市場規模は700億円だが、数年後には960億円にまで拡大する見通しだという。新しい市場が生まれるのではなく、これまでユニフォームを購入してきた企業がレンタルに切り替えることで、市場が広がると分析する。レンタルはもともと、1960年代の病院白衣からと言われる。医療機関のシーツや寝具などを扱うリネンサプライ業者が診察衣やナースウエアを扱うようになったのがきっかけだ。いまでも一定規模以上の病院ではレンタル方式が定着している。一般企業でも70年代以降から、食品工場やサービス業でレンタルの導入が広がった。
クリーニング業最大手の白洋舎は、約30年前からレンタルユニフォームをスタートさせた。売上高は55億円に達し、顧客もコンビニエンスストアや外食レストランチェーン、食品工場など多岐にわたる。高品質なクリーニング工場と、レンタルユニフォーム専門の子会社の機能を生かし、売り上げの拡大を図る。
1962年に設立された東急リネン・サプライは、82年からレンタルユニフォームを手がけている。売上高は約11億円で、食品工場関係が8割を占める。今後は食品工場以外も強化する方針で、レストランのホールスタッフやコックコートなどの提案に力を入れる。また、一昨年から専用カタログを作り、取引先に配布している。
オピニオン/アラマークユニフォームサービスジャパン経営企画部長・北村直樹氏
――10月に顧客であるミニストップのユニフォームがリニューアルされました。
アンケートでニーズや現状の問題点を抽出し、CVS業界のユニフォーム変更の動向を踏まえつつ、ミニストップ本部ならびに加盟店の従業員それぞれのニーズに配慮した提案を行いました。
――貴社の「総合サービスマネジメント」を説明してください。
あくまでユニフォームレンタルを核としながら、マット、モップ等ダストコントロール商品のレンタル、および帽子・靴など周辺商品の販売、ユニフォームの企画・提案なども行います。多様化、高度化する顧客のニーズに応えるとともに、ワンストップサービスによる利便性の向上を目指すものです。
――市場での差別化をどのように進められますか。
米国との比較になりますが、やはり日本のお客はデザイン・品質へのこだわりが強いと思います。そのためにユニフォームのラインアップも、日本独自のものを用意しています。
また、米国アラマーク社から導入したユニフォーム管理ノウハウにより、個人管理を中心とした高いサービス品質の提供を可能にするとともに、それを支える人材を育てています。とくに当社サービスの最先端にいるRSPと呼ばれるルートセールスは全員正社員とし、継続的な教育により高いサービス水準・提案能力を目指しています。 今年4月には関西地域での需要増に応えるため、第二自社洗濯工場を稼働させるなど、品質向上のための積極的な設備投資を行っています。