カケン/品質管理業務を始動
2006年11月22日 (水曜日)
【上海=於保佑輔】日本化学繊維検査協会(カケン)の中国拠点である上海科懇服装検験修整(上海科懇)はこのほど、生産工程での品質管理業務を開始した。さらに中国内販に関するセミナーも開催するなど、サービス面での充実を図っている。
同業務は最終検査のみでは本質的な品質の向上にはつながりにくいことから、生産工程での問題点の確認、技術指導などを実施することで、品質の向上を図るもの。具体的には縫製準備段階ではそれぞれの素材、機能に適した縫製仕様や規格書との確認、裁断精度や品質レベルを把握し、検品までのトータル的な指導で、品質の向上につなげる。指導後も問題がないかを確認する巡回指導業務も行う。東村崇総経理は「不良品が多い工場や、新工場に有効的」と、最終ロット検査と組み合わせたサポート体制を提案しながら、事業の拡大を進める考えだ。
セミナーでは今年から繊維製品や衣料品を販売する場合「紡織品基本安全技術要求」標準の適用が実施されたのに対し、対処法などを講義する。実際、技術監督局などの関係当局により店頭抜き取り調査も実施されており、標準の内容や不合格になった時の対処法を示し、今後もセミナーを開く。
上海科懇の品質検査発行証の数は日本向けが中心で、すでに東京、大阪の品質検査発行証の数に匹敵する。中国への生産集中とともに、現地検査によるリードタイムの短縮の要請を背景に毎年増加しているのが現状だ。
2004年11月には、品質や安全衛生・健康、経営管理の一定水準を満たす「CSM2000」(独TUV社が認証する総合管理システム)の認証を取得した。製造から販売までの過程で品質評価や紛糾処理の根拠となり、日本や中国の異なる市場に対しても統一的な標準で品質を管理できる“企業標準”の申請代行では、昨年からすでに6社が活用し取得、現在2社が上海科懇を通して申請中だ。中国国内に流れる製品の検査にも将来的に対応できるよう準備する一環で、中国が国家基準として与える試験室認定「CNAL」の取得も現在進めている。